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十坐:ふっ、こんな喧嘩にしか能のない男に誰も付いて来んさ。
九厓:そんなことねぇよ。
菖蒲:これからどうするおつもりですか、お父様。
十坐:ひとまず菖蒲はほとぼりが冷めるまで不急の外出を控えてくれ。
十坐:執念深い奴のことだ。報復に出てくることも考えられる。
菖蒲:承知しました。
十坐:俺と九厓は……まぁ心配いらんだろう。
十坐:自分の身くらい自分で守れる。
九厓:へッ、わかってんじゃねぇか。
十坐:「七毒」は終わりだ。ますます世は荒れるかもしれん。
十坐:だが希望は捨てるな。明けぬ夜はない。
菖蒲:……はい。

 その瞬間、外で雷鳴が轟く。
 驚いて外を向く3人。

九厓:な、何だァ!? 雷か……?
菖蒲:そ、そんな。先程まで晴天でしたのに……。
十坐:これは……。

 縁側へ移動し空を見上げる十坐。
 暗雲がかかり、なおも雷鳴が響く。

十坐:黄雲か……?

 その頃、劉雲の豪邸。
 薄暗い一室。寝室の中心で、おびただしい程の血の海が出来上がっていた。

 鮮血に塗れた劉雲が震える手を伸ばす。
 やや遠くに佇み、その様を眺める紫雲。

劉雲:黄雲……? き、きうん……。
劉雲:なぜ……なぜ、だ……。
劉雲:なぜ、ワシを……ッ。
紫雲:……。
劉雲:ワシの……覇道は……ま……だ……。
紫雲:……哀れですね。あなたも私も。

 伸ばした手が床に落ち、劉雲の息の根が止まる。
 むせ返る程の血の匂いと静寂に包まれた部屋で紫雲が顔を上げる。

紫雲:そうは思いませんか。……兄上。
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