役名を選択 ページ単位で停止
横書 縦書
それからは壮絶な水虫大戦争が繰り広げられました。
みんな痒くてイライラして、お父さんとお母さんは喧嘩するし、
サクラちゃんは勉強に集中できないって言って怒るし、
家の空気がいつもピリピリとしてました。
お父さんは水虫の塗り薬を色々試して、
高い飲み薬も飲んでましたが、
事態はいっこうに終息する気配を見せず・・・。

ある日、サクラちゃんがボクのことを手にとって。
ボクは「もしかしてまた履いてもらえるんじゃないか」
って思って嬉しくってドキドキしたけど、その気持ちを抑えて
心の限りに叫んだ、「ダメだよ!ボクはもう取り替えしがつかないくらい汚れてしまった。汚染されてしまった!サクラちゃんが履いたりしたら、サクラちゃん、ますます汚れちゃうよ!そんなサクラちゃん、ボクは見たくない!」って。
サクラちゃんは、その純粋な瞳でボクのことをジッと見つめて、
そして、その小さくて可愛いクチビルで、こう言ったんだ
「コレが原因ね」って。

その瞬間、
ボクは水虫大戦争のA級戦犯としてゴミ箱行きが決まりました。
「一番悪いのは、バスマットのヤツなんだ!」
って叫んでみたけど、無駄でした。
靴下にはしゃべる権利なんかなかったんです。
処刑はその場で即座に執行されました。

そうやって、彼女はボクを捨てました。

これが、ことの顛末です。
これがボクの人生に起こった、ありきたりでクソったれな出来事です。

今日はどうもありがとうございました。
皆さんに話を聞いていただいて、すっきりしました。
これで心残りなく、燃やされることができます。
最後まで聞いていただいた皆さんと
この発言の場を与えてくださった『日本消費者センター』に、
この場を借りてお礼を言いたいと思います。
ありがとうございました。

(暗転)

あ、次にしゃべるのは誰?
え、バスマット?
あいつも来てたんだー。

171/173行目 42行/ページ 3
-->