あらすじ
賢治車掌(宮沢賢治)が、銀河鉄道の駅の近くの展望台から望遠鏡を覗いていると、地球がピカッとひかったのです。そもそも地球は惑星ですから、自らはひかりません。ふだんは宇宙の闇の中にまぎれているのですが、その日はなぜか一瞬ひかりを発したのです。賢治先生は、よだかに自分の幻覚でなかったことをたしかめ、クーボー大博士にその説明を求めます。博士の話によると、展望台は地球から79光年離れていて、あのピカは、原子爆弾の閃光かもしれないと告げます。79年前、広島に落とされた原爆のピカが79光年を隔てたこの銀河鉄道の駅にいま届いたというのです。光と一緒に竃猫からの電報が届いたと月夜のでんしんばしらが持ってきます。竃猫は、広島にある猫の事務所に四番書記として勤務しているのです。電文でもたらされた広島の被害状況は悲惨なものです。3通目の電報は、竃猫が飼われている家の主人である原民喜の詩です。原爆を記録した詩です。
原爆の被害から、原爆の開発秘話に話が進み、大統領宛に研究を勧める手紙を書いたということで、銀河鉄道に同乗していたアインシュタインが呼び出されます。
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原爆の被災を放っておけず、賢治車掌は昭和20年の地球に戻ろうと決意します。
しかし、現在地は地球から79光年離れた銀河鉄道の駅です。光の速度で飛行しても地球に帰り着くまでに79年かかります。瞬間移動できたとしても、現時点の地球は戦後79年の地球です。では、賢治車掌は、どのようにして戦争末期の地球に帰還できるのでしょうか。
あとは読んでのお楽しみ……。