五人組の掛け合いが幕開けから生き生きと描かれており、読み手を惹きつけるものとなっていた。台詞の笑いのみでなく、役者の動きによる笑いも想像できる描きになっているのは演出の意欲を湧かせる良い作りになっていると思う。導入からメインテーマである「校則」までの導入も違和感なく、終始コミカルな雰囲気で走り切っているのは好印象である。
しかし、一方で山場がないせいで物語として物足りないように感じる。60分という制約の中で描くのが難しかっただろうが、校則という壁を見つけ、生徒会に入り、先生たちの説得から改正までの流れが速すぎる。どこかにフォーカスを絞って――例えば生徒会に入るまでや、生徒会になるところをすっ飛ばして黒澤を説得するまでなど――描いた方が登場人物のエピソードとも絡めやすく、物語の起伏を表現しやすかったと考える。尚、大会用に考えるのであれば校則の存在意義についての考察や、現状とのズレ、改正による問題点などを深めると評価されやすいだろう。
ストーリーに深みが足りないが、掛け合いの引き出しやスピード感に光るものがあり、演出意欲をかき立てるものがあるため「おもしろい」評価とさせていただく。
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