はりこのトラの穴　ちょっとひとこと感想文

終始ドキドキして読ませていただきました。感覚としては、一歩踏み外したら奈落の底に落ちる、というのに近いものがあります。この「青春」を生きている少年少女たちの脆さ、儚さの表現が直接的じゃなくて、外堀からじわじわ攻めてくる感じ、たまらないです。参考にした文学作品も相当読み込まれたのではないでしょうか。じゃなきゃこんなに効果的に言葉を引用できないです。個人的に一番好きだった台詞は、部長の梢さんの「ソメイヨシノみたいなクローンにはなるな」というニュアンスの部分です。学生生活って、どうしても集団行動だから、枠からはみ出れば視線を浴びるし、枠に収まれば「個性がない」と言われる。じゃあ、どうすりゃいいんだよって葛藤ありました。もちろん今も。そのもがいて苦しいけど、それでも「自分らしく」生きていこうとする姿がとても印象的でした。今青春真っ只中の学生にも、色々な仮面を持つ大人にも響く作品だと思います。これを同年代が書いたと思うと嫉妬で狂いそうです。こんちくしょう。にしても言葉選びが美しかった。難しいけど、綺麗でした。とても楽しく拝見しました、ありがとうございました。削除