ほっこりとした、そして(良い意味で)曖昧な作品ですね。
世界観、言葉を食べる「ひとかた」の存在など独特な発想に感心しました。
言葉に味があるというのは面白いですね。
「ひとかた」達が色々な言葉の味を批評しているシーンが好きです。諺や名言なども食べてどんな味かぜひ聞いてみたかったです。
ところで「ひとかた」達に個性が感じられないのは故意にでしょうか?はっきりとキャラが立っていた方が話が膨らむような気がしますが、そうするとこのまったりとした空気が出来ないんでしょうね・・・難しいところです。
言葉を題材にしているのだから、作家の存在意義を明確にしてほしかったと思います。今まで材料を生のままで食べていた者が初めて料理された食事をするように・・・今まで言葉を「語句」「単語」としてしか食していなかった「ひとかた」が、美しい言葉を紡ぎ繋いだ作家の「物語」を食べる・・・そんな劇的な存在であればラストに繋がりやすいかなと思いました。
色々な計算が成されているかと思うのですが、恐らく自分はほとんど汲み取れていないんだろうなと申し訳なく思います。私には到底つくりだせない、尾道さんテイストの作風を楽しませていただきました。
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