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   希海、ゆっくり立ち上がる。

希海    そろそろ行かなくちゃ。
正樹    もう?
希海    仕事。遅れるわけにはいきません。私には、…笑顔にしたい人が増えましたから。
正樹    …そっか。
希海    …やっぱり、運命ってあるんですね。
正樹    え?
希海    あなたに出会えた。きっと、また何処かで。
正樹    何処かで…。

   希海、ゆっくりその場を立ち去ろうとする。

希海    あなたも、早く用意しないと仕事に遅れますよ?そしたら怒られちゃいますよ。「しっかりしなさいよ!」って。
正樹    …ありがとう!あの、せめて名前を教え(遮られる)
希海    私、希海っていいます。希望の海でのぞみ!
正樹    希海さん…いい名前だね。俺は(遮られる)、
希海    まさきさん!
正樹    え?
希海    また、どこかで!

   音楽が流れる。
   希海、正樹、それぞれの道へ歩き出して…。

■ おまけ ■

   音楽が小さくなる。
   店のドアを開けるママ。その手にはホットミルクと食パン。

ママ    まさきくーん。まーだいるんでしょ?しょうがないわねぇ。もう、うちで朝食食べちゃいなさい。なんならシャワーも貸すわよ?大丈夫。あんたをとって食おうなんてしないからー…、

   ママ、誰もいないことに気づく。
   ママ、食パンをかじり、ミルクを飲み干す。

ママ    ぷはー!!やっぱり朝はパンよねー!いなくなるなら、いなくなるって言いなさいよー!!…まったく。もう、ここに来るんじゃないわよ。…でも、また道に迷ったらいつでも帰ってらっしゃい…。

   ママ、店の中に戻る。
   音楽が大きくなり…

  ― 幕 ―


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