セイ なんだか寂しいね。
リュウ ああ、寂しい。でも、仕方ない。一瞬を焼きつけられるから人間なんだ。
セイ お、哲学。
(ラジオの音)
リュウ 何か聞こえる。
セイ 微弱だね。仕方ないか。
(アンテナを調節する)
セイ もうちょっと試してみる?
リュウ いいよ。結論は変わらない。
セイ じゃあ、切るよ。
リュウ うん。
セイ やっぱ、この方が落ちつくね。
リュウ うん。
セイ あと何日なんだろう。
リュウ 何日だっていいさ。その時までは生きていよう。
セイ ちょっと怖いけど。
リュウ 誰も経験したことないことは怖いさ。でも、一度きりのこと。
セイ そう何回もあったら疲れちゃう。
リュウ 笑えるくらいの余裕があるなら、大丈夫だよ。もう、どこにも行かなくたっていい。
セイ どこに行く気もない。
リュウ じゃあ、このままだ。
(ふたりの距離が近づく)
セイ また揺れてる。
リュウ ああ、さっきより大きい。
セイ そろそろかな。
リュウ そろそろかもね。もってあとひと月って言ってたし。
セイ こんな場所でも、平和な場所だった。
リュウ そうだね。
セイ 私たち、もうすぐ流星になれるんだよ。ドキドキしてる。
リュウ そのわりに震えてるけど。
(セイ、立ち上がって深呼吸。すぐに座ってリュウと肩を合わせる。)
セイ 手、つないでいい?
リュウ もちろん。
(手を握りしめるふたり)
リュウ 手が冷たい。怖いの?
セイ ちょっと。
リュウ 飼い主が怖がってどうするのさ。
(笑う。しばし無言。)
リュウ 地球、きれいだなぁ。
(ラジオ)
アナウンサー 日本領ライカナースへ実験的に入植した日本人のうち、残る2名は派遣隊の必死の説得にもかかわらず残留を決意した模様です。ライカナースは現在、破局的爆発の兆候が激しく、今後の救助は不可能であると判断されました。2名は千葉市の大学生で、柴原リュウさんと平川セイさんで……。
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リュウ ああ、寂しい。でも、仕方ない。一瞬を焼きつけられるから人間なんだ。
セイ お、哲学。
(ラジオの音)
リュウ 何か聞こえる。
セイ 微弱だね。仕方ないか。
(アンテナを調節する)
セイ もうちょっと試してみる?
リュウ いいよ。結論は変わらない。
セイ じゃあ、切るよ。
リュウ うん。
セイ やっぱ、この方が落ちつくね。
リュウ うん。
セイ あと何日なんだろう。
リュウ 何日だっていいさ。その時までは生きていよう。
セイ ちょっと怖いけど。
リュウ 誰も経験したことないことは怖いさ。でも、一度きりのこと。
セイ そう何回もあったら疲れちゃう。
リュウ 笑えるくらいの余裕があるなら、大丈夫だよ。もう、どこにも行かなくたっていい。
セイ どこに行く気もない。
リュウ じゃあ、このままだ。
(ふたりの距離が近づく)
セイ また揺れてる。
リュウ ああ、さっきより大きい。
セイ そろそろかな。
リュウ そろそろかもね。もってあとひと月って言ってたし。
セイ こんな場所でも、平和な場所だった。
リュウ そうだね。
セイ 私たち、もうすぐ流星になれるんだよ。ドキドキしてる。
リュウ そのわりに震えてるけど。
(セイ、立ち上がって深呼吸。すぐに座ってリュウと肩を合わせる。)
セイ 手、つないでいい?
リュウ もちろん。
(手を握りしめるふたり)
リュウ 手が冷たい。怖いの?
セイ ちょっと。
リュウ 飼い主が怖がってどうするのさ。
(笑う。しばし無言。)
リュウ 地球、きれいだなぁ。
(ラジオ)
アナウンサー 日本領ライカナースへ実験的に入植した日本人のうち、残る2名は派遣隊の必死の説得にもかかわらず残留を決意した模様です。ライカナースは現在、破局的爆発の兆候が激しく、今後の救助は不可能であると判断されました。2名は千葉市の大学生で、柴原リュウさんと平川セイさんで……。
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