役名を選択 ページ単位で停止
横書 縦書
梶原  「早く原稿を仕上げるのは素晴らしいことです。プライベートも大切です。でも、先生は漫画家なんです。先生にとっては長い連載のたった1話かもしれない。でも読者にとっては心から楽しみにしていた1話かもしれないでしょう?悔いを残すような作品作りはやめましょう。きっと後悔しますよ」
安達  「・・・」
梶原  「以上、板垣さんの言葉を代弁しました」
板垣  「は、はい。代弁されました!」
安達  「板垣さん。ありがとう。私のことをそんなに真剣に考えてくれてたんだね。正直、原稿を取りに来るだけのごくつぶしだと思ってた」
板垣  「あはは。正直その評価は知りたくありませんでした」
安達  「やるよ、私。(携帯を取り出す)今日のデートは中止だ!」

      安達、携帯を取り出し電話をかける。

安達  「あ、ヒロくん?今日の食事なんだけどね・・・え?キャンセルしたい?そうなんだ。偶然だね。実は私も・・・え?私の態度がはっきりしないから?昨日告白された同僚と、付き合うことになった?・・・あ、そうなんだ!おめでとう。うん、私は全然平気だよ?じゃあ、お幸せにね!バイバーイ!」

      安達、電話を切る。

安達  「え・・・エエイアア!」
梶原  「吠えた」
板垣  「先生が吠えた」
安達  「結婚まで視野に入れてたのに」
梶原  「先走りすぎでしょ」
安達  「もういい!私には漫画しかない!梶原さん、今日から徹夜だよ!」
梶原  「了解です」

      安達、去る。

板垣  「なんか、大変な状況になりましたね」
梶原  「そうですね。でもまあ、良かったです。後悔せずに済みそうですから。先生も、私も。しばらく家には帰れそうにないのが難点ですけど」
板垣  「頑張ってください。あ、栄養ドリンクとか飲みます?さっきコンビニで買ったんですよ」
梶原  「いただきます」
板垣  「ちょっと待ってくださいね。どこにしまったかな。これじゃないし」

      板垣、カバンを探る。無造作に封筒を取り出す。「完成原稿」と書いてある。

梶原  「・・・板垣さん?」
板垣  「え?・・・(原稿に気づく)ああああっ!ここにあったのか!」
梶原  「・・・本当にぼんくらですね」
板垣  「どうしましょう?これ」
安達  (声のみ)「うおおおお!書くぞ!書くぞー!」
梶原  「・・・処分してください」

      音楽。暗転。


280/282行目 42行/ページ 3
-->