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(みんなでもりあがっているところに、大人二人が、あげまくから舞台にはしりこんでくる。)
大人A 「わー、コラッ、きつねども、よくもこどもたちをばかしたな。」
たろう 「おとうさん。」(と叫ぶ。)
(キツネの観客は、蜘蛛の子をちらすようにあちこちの方向にきえる。)
乙吉 「あなたは、誰ですか?」
大人B 「帰りがおそいと思ったら、こんなところでキツネにばかされとる。」
たけし 「あっ、とうちゃーん」(と叫ぶ。)
乙女 「わたしたちはばかしてなんかいません。」
大人A 「いいや、ばかしてる。それがしょうこだ。そのキツネ火がしょうこだ。
(と、まだ灯のついている幻灯機をゆびさす)
みんな、目をさませ、こんなキツネ火にばかされてどうする。しっかりしろ。」
たろう 「ぼくたちは、キツネさんに招待されてきたんだよ。」
はなこ 「そうなの、幻灯会なのよ。」
たけし 「かしわもちもごちそうになったし……」
大人B 「かしわもちを食べたのか? それは、わらじかもしれん。口の中にわらが残ってないか?」
かず 「だいじょうぶだよ。へんなあじもしてないし……」
はる 「みんなでもりあがっているのに……」
大人A 「さあ、帰るんだ、お前たちは自分のうちに、キツネはキツネのうちに帰るんだ。」
大人B 「しっかりしろ、ばかされて道をまちがえるなよ。」
(大人二人が、それぞれ、バットと鍬で、子供たちをあげまくの中に追い込む。
乙吉と乙女は、舞台上手に退場し、地蔵さんは祠の中に坐る。)
                            【幕】



【注1】 幻灯機で二枚の写真を交互に映しておもしろい動きをさせるという操作は、
実際には、パソコンに写真を取りこんで、プロジェクターをつなげば簡単にできる。


【追補】
学校劇の脚本を、下記のホームページで公開しています。
「賢治先生がやってきた」
http://www3.plala.or.jp/kenjigeki/
興味のある方はのぞいてみてください。








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