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梨華 「それはいいんだけど…」
賢一郎 「だけど?」
梨華 「…バイト代、入らなかったから、おごってほしいなぁ…なーんて。」
賢一郎 「………仕方ねぇなぁ。今晩は俺のおごり!」
梨華 「やったぁ!」

梨華と賢一郎、2人で公園を後にしようとする。

梨華 「ねぇ、賢ちゃん。」
賢一郎 「ん?」
梨華 「バイト先、紹介して。」
賢一郎 「ん。話つけとくわ。(先にはける)」
梨華 「…賢ちゃん、いつもありがとう!」

暗転。

SE 着信音

明転。賢一郎だけいる。

賢一郎 「もしもし。」
渡井N 「もしもし、こちらはダメ人間更生団体『ボーダレス』の渡井です。」
賢一郎 「あぁ、渡井さんですか。ありがとうございます。おかげで前よりも自分で動くようになってくれそうです。ところで…携帯を壊してしまったみたいですが、大丈夫ですか?」
渡井N 「気にしないでください。アレは使用されなくなった中古携帯を、佐伯様とのみ通話できるように改造したものですから。壊れていなくとも使い道がないですよ。」
賢一郎 「それならよかった。」
渡井N 「ところで、浜千代様の成長はそれだけではないですよ。彼女はもうひとつボーダーを乗り越えましたから。」
賢一郎 「もうひとつのボーダー…ですか?」
渡井N 「お気づきになりませんか? 彼女は今、携帯がなくても想いを伝える事ができるのですよ。彼女自身の言葉で。」
賢一郎 「梨華自身の想い…ですか。」
梨華 「賢ちゃ―ん。たけのこの里全部食べきっちゃっていい?」
賢一郎 「あ、すいません。呼ばれているのでこれで失礼します。ありがとうございました。」

SE 電話の切れる音。

賢一郎 「今から戻るから、俺の分も残しといて!

…そっか。梨華から『ありがとう』って言われたの。初めてかもしれない。」



(終わり)

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