ずれ
サイトウ家の居間。
テーブルを挟んで、4人の男女が座っている。
この家の一人娘・ユミの隣に座るのは、ユミの恋人であるタナカ。真面目そうな見た目だがどこか落ち着きのない青年。
向かいに座っているのは、サイトウ家の父と母。

少し緊張した様子のタナカ。
タナカの手をテーブルの下で握り、つとめて笑顔を作っているユミ。
ニコニコしながらお茶を飲みつつ、タナカを値踏みするような目で見ている母。
真っ赤なビキニでグラビアポーズを取っている父。(ポーズは随時変化する)

母が湯のみをテーブルに置く。
ユミがタナカのヒザをぽんぽんと叩く。
意を決して口を開くタナカ。


タナカ
「えー、今日は大事なお話をしに参りまして……」


「大事なお話?」

タナカ
「はい。あの……えー……まぁ、ユミさんと僕の、その、将来についてですね」


「ええ」

タナカ
「あのー……」


「……どうしたの? 続けて?」

タナカ
「いえ、あの……お二人にはその、今日初めてお会いしたばかりなので……こんなことを申し上げるのは、失礼かもしれないんですが」


「いいのよ、気にしないで。まぁ、前もってお会いできたら、それはそれでよかったけどね」

タナカ
「すみません」


「あら、タナカさんのせいじゃないわよ。ユミがいつまで経っても連れてこないもんだから。照れてたのかしらね?」

ユミ
「私もタナカさんも忙しかったから、色々」

タナカ
「すみません」

ユミ
「気にしないで」


「そう、気にしないで」

タナカ
「はぁ」

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