あらすじ
鬼追山にひっそりと建つ鬼涙塚(きるいづか)。千年前、この山にはたくさんの鬼が棲みつき悪事を働いていたが、勇敢な人間たちにより攻め滅ぼされたという伝説が伝わる。鬼涙塚は、そんな鬼たちの供養のために建てられた塚だという。
結衣は、男の手ひどい裏切りにあって深く傷つき自殺未遂までした。父の史郎はそんな娘を心配して鬼追山に連れて行き、美しい景色を眺めながら生きることの尊さを説く。その山の中で、結衣は鬼涙塚を守っているという謎の青年・剛と出会う。自殺未遂をした結衣に、「好きな時に死ねる人間が羨ましい」と言い放ち、深い哀しみと苦しみに耐えながら生きている様子の剛に、結衣は心惹かれていく。
しかし、娘が得たいの知れない青年に惹かれていくことを心配する史郎は、部下たちを伴って「君は何者なんだ」と剛に厳しく詰め寄る。
鬼追山に追い詰められた剛は、自分の正体について語り始める。「俺は千年前に人間たちに滅ぼされた鬼の生き残りだ」と・・・。