pride!
 
「pride!」 

                           作:澤根 孝浩
−登場人物−

・高田 健太(29)
・福本 洋輔(22)

    (照明)地明かり、フェイドイン。
    舞台にはテーブル。椅子二脚。一脚に高田が座っている。
    高田はイライラしながら何かを待っている様子。
    そこに福本が入ってくる。
    席に付くまで、人に出会ったようで、挨拶をしている様子。
    (エキストラがいるようなら、実際に出演しても良いと思います)
福本:あ、近藤さん、お疲れ様です! はい、はい。もちろん。また是非、飲みに連れて   行ってください。
    また別の人に出会ったようである。
福本:こんにちは、安田係長! はい、はい! ありがとうございます! いえいえ、安   田係長のお陰です。また頑張りますので、よろしくお願いします!
    高田はさらにイライラしてる。
    福本が高田の向かいの席につく。
福本:あ、お待たせぇー。
高田:お待たせーじゃねーよ。約束の時間、2時間も過ぎてるじゃねぇか!
福本:悪い、悪い。ちょっと、アレがアレで…さ。
    てきとうな感じで、ジェスチャーを見せる福本。
高田:わかんねぇよ。
福本:で、何? 食堂になんて呼び出して。あ、お金なら無いよ。
高田:あ、謝らないんだね。一言も。
福本:いいじゃん。過去の話は。タイムイズマネー。どぅーゆーのー?
高田:やっぱり謝らないんだ。もういいや。さっそくなんだけどさ、といっても、俺、一   人で二時間、ここで待ってたんだけどね。
福本:そういうとこ、治した方がいいよ。ねちねちさ。前にも言ってあげたでしょ。そう   いうとこ、女の子に嫌われるって。
高田:はい、話、続けるね。えっとね…。
    止まる高田。
福本:何? 言いにくいの? 遠慮するなよ、俺らの仲じゃん。
高田:そうだな。遠慮するのもおかしいよな。俺、二時間も待ちながらシュミレーション   してたわけだし。
福本:おう、遠慮するな。
高田:あ、ああ。…あのさ、突然だけど、お前さ…上司とか先輩とかに評判いいじゃん?
福本:そう? 別にそんなことないだろ。普通だと思うけど。
高田:いやいや。お前、何て言うか体育会系で、敬語もしっかりしててさ、態度もびっち   っとしてるもん。先輩や上司も、みんな、言ってるよ。「福本みたいな気持ちの良   い新人は今時いない」って。
福本:止めろよ、そんな話。どうしたんだよ?
高田:うん。
福本:うん?
高田:あのさ。
福本:うん。
高田:俺もさ…先輩…じゃん。お前の。
福本:うん。
高田:…うん?
福本:うん。
高田:え、それだけ?
福本:どういうこと?
高田:それはこっちのセリフだよ。だからさぁ俺もお前の先輩なんだから、うやまえよー、   敬語使えよーって遠回り、遠回りに言ってるんだよ! 察しろよ!
福本:解説しちゃったよ…。そういうとこもさ、どうかと思うな。
高田:だから、タメ口っていうか、上から物を言うなよ! お前が、入社して、今日まで   六ヶ月間、我慢していたけど、一体、何なの? 特に、最初なんて、すっげービッ   クリしたぞ。廊下でいきなり、おつかれー。社会人ってなかなか大変だな」って。   何? 俺、お前の幼なじみで、ずっと同じ学校で、4月から同じ会社に入社? 違   うよね? 俺ら、あの時、初対面だよね? 俺、童顔だけど、もうこの会社、7年   目だし。
福本:もう…そんな必死にまくしたてなくてもいいよ。ガーガーさ。伝わってるし。それ   に、ツバ、とんだ。
高田:あ、ごめん。
    間が空く。
高田:…謝っちゃった…。
福本:良いところだよ。悪いと思ったら、謝る。簡単なことだけどね、なかなか出来る人   間、いないからさ。お前の数少ない、いいところ。
    照れる高田。
高田:…あ、ありがとう。…いや、そうじゃなくてさ! そこ、そこだからね。ちゃんと   説明してくれよ。俺に対して何でタメ口なのか。七歳も年上の俺に、そんな傍若無   人なのか…。
福本:…本当に聴きたい…?
1/2

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム