Thank You!
PH<ペーハー> 第6回公演「Thank You!」
【舞台設定】
とある町にある「中村屋」。
「中村屋」はお客様の依頼を何でも引き受ける、いわゆる『便利屋』である。1Fは倉庫兼、駐車場、2Fは事務所となっており、その2Fが舞台となる。
上手に事務員用デスクがあり、電話やノートパソコン、ファイル関係が並んでおり、ホワイトボードもある。
下手に社長用デスクがあり、上部には、額が二つ。一つは、『働け!』という言葉だけが力強く書かれたものと、もう一つは、薄気味悪い初老の男性の肖像画。
中央には来客用のテーブルとソファー。
上手には出入口の扉(以降=上扉)、奧には作業員たちの更衣室やキッチンなどに通ずる出入口※扉無し(以降=中奧)がある。
【登場人物】
・中村 亮太(32)……便利屋「中村屋」二代目・社長。
・渡部 宏一(32)……「中村屋」社員。
・高橋 正人(31)……「中村屋」社員。
・堀田 俊介(28)……「中村屋」社員。
・内野 貴司(26)……「中村屋」社員。
・新居田 忍(28)……「中村屋」社員。
・早乙女結衣(32)……「中村屋」事務員。
・小久保将美(31)……弁当屋の娘。亮太と同級生。
・椎名 明夫(31)……亮太の親友。町工場の三代目・社長。
・中村 勝尚(故)……亮太の父。一年前に他界。
・岡野 智也(26)
・荒井 広志(34)
・少 女(17)
【第1景】
オープニングの曲がフェードアウトと同時に、電話の音がクロスフェードされて行く。
明転(電気は点いてない設定:薄明かり)すると、社長席に社長の中村、ソファーに作業員・渡部と内野が寝ている。
三人とも喪服姿だが、服装はかなり乱れている。
テーブル周りの雑然とした跡が、夕べここで飲み散らかした様子を物語っている。
電話の音で、中村が目を覚ます。
中村、事務員用デスク上にある電話の受話器を取る。
中 村「もしもし、中村屋です。……もしもし」
受話器を取っても、電話の音は鳴り続ける。
発信源は携帯電話。
中村、携帯電話をじっと見つめ、それをつかみ上げる。
中 村「(内野を叩き起こし)おい! 内野! 電話!」
目を覚ました内野、携帯電話を取るとピッと消してしまう。
中 村「……出なくてよかったのか?」
内 野「今のアラームですから」
中 村「会社の電話の呼び出し音と同じにするなよ。紛らわしい」
と、中村が言ってるそばから、再び寝に入る内野。
中 村「オレの発言を無視して寝に入るとはいい度胸だ!」
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