銀河鉄道の夜
3人の女の子のための練習台本
『銀河鉄道の夜』・・3人の女の子の為の練習台本・・
            原作  宮沢賢治
            脚本  結城 翼

  ※ 3人の女の子の練習用に「銀河鉄道の夜」のエッセンスをぶち込みました。
    もちろんきちんとした上演もできます。

★登場人物  

女1・・ジョバンニ・子供2(声)
女2・・母・カムパネルラ・助手・子供2
女3・・父・ザネリ・先生・大学士・鳥捕り・こども1・男

   
        風の音。
        ゆっくりと溶暗。
        風の音の中に激しく汽笛が鳴る。
        風の音が消えて行く。
        溶明。静かな音楽。
        食卓があり、母がいる。
        ジョバンニが帰ってくる。

ジョバンニ:ただ今。具合悪くなかったの。
母  :ああ、ジョバンニ。今日は涼しくてね。私はずうっと具合がいいよ。
ジョバンニ:今日は角砂糖を買ってきたよ。牛乳に入れてあげようと思って。
母  :ああ、お前先にお上がり。あたしはまだ欲しくないから。
ジョバンニ:姉さんはいつ帰ったの。
母  :ああ、三時頃帰ったよ。そこらをしてくれてね。
ジョバンニ:母さんの牛乳は来ていないんだろうか。
母  :こなかったろうかねえ。
ジョバンニ:僕行ってとってこよう。
母  :ああ、あたしはゆっくりでいいんだからお前先にお上がり。
ジョバンニ:では、僕食べよう。

        ジョバンニ食べ始める。
        汽笛が遠くで鳴る。

母  :誰かいくんだね・・・。
ジョバンニ:ねえ母さん。
母  :どうしたの。
ジョバンニ:僕お父さんはきっとまもなく帰ってくると思うよ。
母  :ああ、あたしもそう思う。けれどもお前はどうしてそう思うの。
ジョバンニ:だってけさの新聞に今年は北の方の漁は大変よかったって書いてあったよ。
母  :ああ、だけどねえ、お父さんは漁へでていないかもしれない。
ジョバンニ:きっと出ているよ。お父さんが悪いことをしたはずがないんだ。だって、今度はラッコの上着を持ってきてくれるといったんだ。
母  :ああ、そうだったねえ。
ジョバンニ:みんなが僕に会うとそれを言うよ。冷やかすように言うんだ。
母  :カムパネルラさんもかい。
ジョバンニ:・・カムパネルラは決して言わないよ。カムパネルラはみんながそんなことを言うときには気の毒そうにしている。
母  :カムパネルラのお父さんとうちのお父さんはちょうどお前たちのように、小さいときからお友達だったそうだよ。
ジョバンニ:ああ、だからお父さんはぼくをつれてカムパネルラのうちにつれていったよ。アルコールで走る汽車があった。カムパネルラ、僕にさわらせてくれたよ。レールを7つ組み合わせると丸くなってそれに電柱や信号標もついていて、汽車がクルクル回ってる。カムパネルラいったよ。この汽車はどこへ行くんだろうって。どこへも行かないよ。ここを回ってるだけじゃないかって僕が言ったら、カムパネルラ僕をじっとみて、でも行くんだよ。って言った。

        汽笛が鳴る。

母  :誰か行くんだねえ。
ジョバンニ:ザウエルという黒い犬がいるよ。尻尾がまるで箒のようだ。毎朝、新聞回しに行くだろう。僕が行くと鼻を鳴らしてついてくるよ。ずうっと町のかどまでついてくる。もっとついてくることもあるよ。で、言ってやるんだ。グーテンモルゲン!これ、ドイツ語だよ。先生に習ったんだ。今夜はみんなで烏瓜のあかりを川へ流しに行くんだって。きっと犬もついていくよ。
母  :今晩は銀河のお祭りだねえ。
ジョバンニ:ケンタウルス露を降らせ!・・うん。僕、牛乳を取りながらみてくるよ。
母  :ああ行っておいで。川へは入らないでね。
ジョバンニ:ああぼく、カムパネルラと見るだけなんだ。一時間で行って来るよ。
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