うたかた
   うたかた




登場人物



  有馬志乃     京の芸妓

  鎌倉大輔     勤皇の志士

  大江さと     大江仙太郎の妻

  武部いづみ    元岩槻藩士族の娘

  周防五郎     元岩槻藩士・勤皇の志士

  平良正重     元岩槻藩士・勤皇の志士

  有原平吉     宍戸藩家臣

  有原なえ     平吉の妻

  紀井とし     有原家の奉公人

  伊勢さくな    志乃の遊郭の先輩

  瀬戸寂鏡     尼僧・元公家

  藤澤周慶     僧兵

  田村徳一     新撰組隊士

  坂上宗助     新撰組隊士












【プロローグ】

  元治元年三月、愛宕の山寺・境内。暗がりの中、寂鏡がやってくる。後ろから周慶がやってくる。

周慶   寂鏡様、先ほど蔵の中の物は全て…。
寂鏡   そうですか…。…市中の桜はもう?
周慶   いえ、やっと咲き始めたという程度です。ですが、皆はこれを待ちわびていたのです。今宵は夜桜見物で祭りのような喧騒でしょう。
寂鏡   周慶…どう思いますか?これで本当に良かったのでしょうか?
周慶   寂鏡様…。
寂鏡   (辺りを見回す)風が…強くなってまいりました…。嵐の来る前触れなのでしょうか?…それとも…。
周慶   …それとも?
寂鏡   騒乱を前に…京が動き出しているのか…。
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