ラストクリスマスver.1
「ラストクリスマス ver.1」 中島清志 作
【登場人物】♂椎野冬樹(しいの・ふゆき)・・・高校3年生。演劇部員。
♀星崎未唯(ほしざき・みゆ)・・・高校3年生。演劇部員。
電気のスイッチが入ると、そこは演劇部の部室である。
中央に大きめの机とイスがあり、4、5人は座れそう。
かなり雑然とした様子で、ほとんど掃除されていないようだ。
今入って来てスイッチを入れたのは椎野冬樹。
制服の上にコートとマフラーを着用。
下げていた大きな袋を下ろすと震えながら部屋の隅に置いてあった電気ストーブを持って来てつける。
しばらくストーブにあたっていた冬樹は袋の中からクリスマスツリーを出すと、机の上に置いてあった物をどけて置く。
さらに写真立てを出すと、それをじっと見ている。
何やらいわくありげだ。
写真立てを置いた冬樹は、タバコの箱とライターを出し、1本取り出して火をつけようとする。
と、その時、外から大きな物音と女の子の悲鳴が聞こえる。
驚いた冬樹がタバコとライターを制服に隠して入り口に向かうと、悲鳴の主である女子高生がドタバタと入って来る。
星崎未唯である。
冬樹を見ると再び大きな悲鳴を上げて入り口付近にしゃがみ込む。
冬樹は未唯に近づき、声を掛ける。
冬樹「星崎?」
未唯「冬樹君・・・
ああ、びっくらこいたー。」
冬樹「そりゃこっちのセリフだ。
いきなり人の顔見てキャーはないんじゃねーの。」
未唯「お化けかと思っちゃった。」
冬樹「はあ?」
未唯「だって外真っ暗だよ。
やっとの思いでここにたどり着いたと思ったら、ボーッと突っ立ってる人がいるんだもんなー。」
冬樹「俺はお化けか。」
未唯、立ち上がると冬樹の顔を両手でつねる。
冬樹「あたっ!」
未唯「良かった、お化けじゃなくて。」
冬樹「人の顔で確認するなよ。
よーし・・・」
冬樹もお返しに未唯の顔をつねろうとするが、未唯はその手をピシャリと叩く。
未唯「何すんのよ!
ヘンタイ!」
冬樹「そりゃねーだろ。
お化けの次はヘンタイかよ。」
未唯「女の子に触っていいと思ってんの!」
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