ワールド エンド
〜終末の錬金術師〜
ワールド エンド〜終末の錬金術師〜      緋村 カズキ・作




■CAST■

錬金術師 …不老不死

シン   …人形

リク   …死病に冒された少女

カイ   …リクの弟

町人1(おばさん) 

町人2(セツ)

母親

子供




■SCENE−1■

ナレーター 「滅び行く世界。木々は枯れ、砂漠は町を飲み込み、流行り病が次々と、
       人々をその手にかけていく。
       僅かに生き残った人々は、やがて訪れる終末を、ただ身を潜めて待つ
       ばかり。
       変わらぬ永遠に憧れて、決して起こるはずの無い、奇跡を願いながら」

    (明転。小屋の中)

シン 「錬金術師」

錬金術師 「おや、シン。お帰りなさい」

シン 「ただいま」

錬金術師 「『下』の様子はどうでしたか?」

シン 「…ああ。今日、東の町が完全に砂漠に飲み込まれた。西の町でも死病が流行
    しているようじゃな。もう、森の姿は全くと言っていいほど見られない。…
    いや、西の町の外れに、木が何本か植えてあったな。あれは何なのだろう」

錬金術師 「大方、どこぞの人間が森を甦らせようとしてやったんでしょう。そんな
      事しても無駄なのに」

シン 「…のう、錬金術師。世界はこれからどうなるのだろうか」

錬金術師 「そうですね。まあ少なくとも後数年で、確実に人間は滅びるでしょうね」

シン 「そうしたら…」

錬金術師 「そうしたら、この世界に私と貴方の二人だけになるだけですよ。別に今
      までと何も変わりません。特に不都合も無いでしょう」

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