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赤とんぼ

　赤とんぼ　　中島清志　作　　

〔登場人物〕♂５人　♀２人　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
♂　中野和雄　(葉山分校１年生)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
♂　中野義雄　(和雄の父)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
♂　神田誠　　(和雄のクラスメ−ト)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
♂　矢島康雄　(和雄のクラスメ−ト)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
♀　宮内理恵　(和雄のクラスメ−ト)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
♂　落合洋子　(和雄のクラス担任)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
♂　木内哲郎　(葉山分校長)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
開幕　授業が始まる前の落ち着かない教室内である　矢島康雄が宮内理恵にしきりと話しかけている

康雄「ねえねえ理恵ちゃ−ん、今度の日曜ヒマじゃない？」

理恵「ごめんなさい。お母さんと買い物行くの。」

康雄「じゃさあ、次の土曜は？」

理恵「え−っと、家族でスキ−旅行。」

康雄「その次の日曜は？」

理恵「確か、法事で・・・あのねえ、はっきり言って悪いんだけど矢島君と２人じゃ嫌なのよ。」

康雄「何で！？どうして！？」

和雄「おい、ヤス。やめなよ。学級委員さんはおめえみたいな馬鹿は相手出来ないんだとよ。」

理恵「別にそういうわけじゃないけど・・・あっ、そうだ、グル−プなら遊びに行ってもいいよ。こないだの初詣みたいにさ、私友達連れて来るから矢島君と中野君と一緒に行こうよ。」

康雄「ちぇっ、いつもそうだ。なんで、こんな不良がいいのかねえ。」

和雄「お前に言われたかねえよ。それに、そんなのこっちだって願い下げだ。女なんかに付き合ったところで、くそ面白くもねえ・・・」

始業のチャイムが鳴るが　ほとんどの生徒が立ち歩いたり友達としゃべったりしている　ハイヒ−ルが歩く音がし、落合先生が入って来るが、皆なかなか席に着こうとしない　先生を見て生徒は口々に、自習、自習、と言っている

落合「席に着きなさい！静かに！」

生徒たちはようやく自分の席に戻り始める

落合「中村先生は出張です。」

康夫「自習ですか？」

落合「人の話は最後まで聞きなさい！ですから、この時間は残念ですが自習だそうです。」

あちこちから、やったあ、と大歓声があがる　鳴りものを鳴らす馬鹿もいる

落合「静かにしなさい！・・・おどりゃあ！！静かにせえ、言うとるんがわからんのか！！！」

康夫、すかさず先生に駆け寄って声をかける

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