あらすじ
コント『彼女手作りのシンセサイザー』作:第三字宙(約10分)
ミュージシャン志望の彼氏が、彼女から「卒業祝いのプレゼント」をもらう。目隠しを外すと、そこに立っていたのは——人間を改造した“手作りのシンセサイザー”。
驚愕する彼氏に、彼女は平然と告げる。「ストーカーを改造して、シンセサイザーにしたの。これで夢を叶えてね!」やがて、そのシンセは自我を見せ始め、彼氏の言葉を勝手に歌にしてしまう。奇妙な詩が流れ出し、狂気と音楽が混ざり合う部屋。しかし彼氏は言う。「これは俺の音楽じゃない」と。
彼女が部屋を出た隙に、彼氏はシンセを解放する。シンセは語る——「彼女は私の生徒でした。純粋な音楽の喜びに惹かれ、つい……」かつてのストーカーは、いまや“楽器にされて満たされる”という倒錯の境地に落ちていた。
そこへ彼女が戻ってくる。再び捕らわれるシンセ。そして、燃料として与えられるのは、彼女の“咀嚼物”。狂気に耐えきれず逃げ出す彼氏。部屋に残されたシンセは、静かに語る。「これが、のちにグラミー賞を取る天才プロデューサー・Uと、彼の愛機〈ストーキングシンセ牧田〉の出会いでした——」
トーン:ナンセンス×ブラックユーモア×ロマンチックホラー。「創作と依存」「愛と所有」「音楽と狂気」を一幕の中に凝縮した異色の10分コント。