絶ぇっ対に死刑だ!
絶ぇっ対に死刑だ!

正木 義治 男 (まさき よしはる)
桜井 姫花 女 (さくらい ひめか)
平岩 和美 女 (ひらいわ なごみ)
針宮 荊棘 女 (はりみや いばら)
真田 優斗 男 (さなだ ゆうと)
        (            )

はじめに。

戯曲の中で登場する仮面は、
⑴表情が隠れること
⑵最後の6人目を明示できること
の2点が守られていれば、別の表現に変えても良い。

事前準備として、劇が始まる前に犯人についての資料を作っておく。


第一幕
 
舞台中央に円卓。テーブルクロスがかかっている。後方にはホワイトボードがある。
円卓を囲むように椅子が6脚並んでいる。
正木、平岩、針宮、真田、桜井の順に座っている。
それぞれの手元には犯人についての資料がある。
客席の目の前の椅子は空席。

正木  (セリフに被せて台パン)ぜぇぇっったいに死刑!!!!!

明転 C/I
正木と桜井が仮面をつけている。平岩は神妙に相槌を打っている。
真田は暇そうにスマホをいじっているが、時折耳を傾けている。

正木  ぜっったいに死刑だ!(資料を叩きつける)
桜井  ちょっと待ってよ!!何勝手なこと言ってんの?!この子は!確実に!無罪でしょ?!
正木  はぁぁあ?貴女こそ何を言ってるんだ!その目はお飾りか?!手元にある資料を見てみろよ!「被害者の体にはそれぞれおよそ三〇ヶ所ずつの刺し傷が見受けられた。」
こんなのどう考えたって明確な殺意による犯行だろ!!!
桜井  ちっっがうわよ!ここ!ここの文を見なさいよ!この子はストーカー被害にあってたの!しかも、つい二週間前に職場のロッカーに自分の写真を入れられてる……。職場の!ロッカーに‼︎
普通だったら警備の目とか、鍵とか、そういうのがあるはずなのにお構いなしにこんなことされて!
可哀想に…怖かったでしょうね………
正木  はぁ…それがなんだって言うんだ。関係のない話はやめたまえ。
桜井  なっ…。これだから男は嫌なのよ…。 
正木  なんだと?
桜井  いい?資料を見るとこの子は過去にDV男に苦しめられて、そして今はストーカー男に苦しめられてる。
針宮  …つ、つまり?
桜井  つまり、警戒心がとっっっても強くなってるってこと!
針宮  えっと………だから?
桜井  え…あぁ…えっと、だから!この子の主張通り人気のないような暗い道で
後ろから近づかれて、恐怖のあまり刺してしまっただけよ!
正木  確かにそれも一理ある…
桜井  ほらっ…
正木  (被せて)とでも言うと思ったか?!
たとえどんな理由があろうとも人を刺したことに変わりはない。
その時点でこいつは間違いなく犯罪者だ!
桜井  この程度正当防衛よ‼︎
正木  正当防衛だと?!正気か?
さっきも言った通り刺し傷は三〇ヶ所。二人合わせてでも悍ましいのに
一人三〇ヶ所ずつ刺されているんだぞ?
しかもただ刺しただけじゃない…。眼球や頸動脈まで刺されている。
これのどこが正当防衛なんだ!
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