あらすじ
学習塾に勤務している秋山は、若手社員ながら、生徒や保護者からの信頼を得て、会社でも話題に上がるほどの営業成績を誇っていた。
ある夜、上司らとの飲みの帰り、小劇場の前で足を止める。高校で演劇部に所属していた頃を思い出し、その懐かしさに導かれるように、舞台の上で眠ってしまう。
目が覚めると、舞台の上には照明の光が突き刺し、教室を模した簡素なセットが並んでいた。すると舞台袖から、当時の演劇部員たちが躍り出て、上演を始める。
「あなたの台詞を飛ばして、物語は進まないでしょう」
「演劇の神様が観ているのです。物語を演じきらないことには」
不思議な舞台の上で、忘れかけていた夢と感動を思い出していく。
それは、人生にどんづまった時、立ち戻ってくるために演じた物語だった。