セルフ・コントロール

(せるふこんとろーる)
初演日:1994/3 作者:グッキーあんとく
プロローグ

          おもむろに音楽。
          『惑星--木星--』
          舞台上には数人の人。
          はるか遠くを見つめる目。
          感動的なシーンだ。
          音楽クライマックス。
          あわせるように溶暗。
          幕。

          明かりが付くとカーテンコール。
          全員並んでいる。
代表「えー、本日は、劇団○○公演『セルフコントロール』に御来場いただきましてありがとうございます。僭越ながら、キャストの紹介をいたしたいと思います。」
          キャスト紹介。
代表「本日は、本当にありがとうございました。」
全員「ありがとうございました。」
          暗転。

          客電の明かりがつく客電の明かりがつく。
          しばし、間。
          観客、どうしたものか。
          (この間、ちゃんと客だしの音楽もなっているものとする。)
          突如、二人の男乱入。
A「ふざけるなー!」
B「そうだー!」
A「これで終わりか!?」
B「責任者出てこい!」
          などなど叫びながら舞台上へ。
          (客いじり可)
          責任者、出てくる。
責任者「はい、何でしょう。」
A「お前が責任者か。」
B「責任者か。」
責任者「そうですけど、何か。」
A「今のは何なんだ、今のは。」
B「そうだ、今のだ。」
責任者「今の、、、芝居のことですか?」
A「芝居だあ、ふざけんな!」
B「そうだ、ふざけんな、バカ!」
A「あんなんが芝居なもんか。客をなめんなよ。」
B「なめるな、バカ!」
責任者「感動的なラストだったじゃないですか。」
A「何が、感動的だ。まだ始まって、、、10分もたってねえじゃねえか。」
B「そうだ、バカ。」
責任者「そんな、長けりゃ良いってもんじゃないでしょう。」
A「そりゃ、そうかもしれねえけど、10分はねえんじゃねえか、10分は。」
B「そうだ、10分だ。」
責任者「昔から言うでしょう、はじめ良ければ終わり良し、終わり良ければ全て良しって、終わり、良かったじゃないですか、感動的で。」
A「終わりって、終わりしかねえじゃねえか。」
B「そうだ、終わりだ。」
責任者「わかんない人たちだなあ。最近はね、どこが終わりだかわかんないような芝居だってあるんだよ。いつ終わったか、わかんないから、客帰って良いのかどうかわかんない芝居だってあるんだよ。それに比べたらあんた、こんだけ終わりのはっきりした芝居もないんじゃないの。」
A「く、たかし!」
B「おう!」
A「ばきっ!」
          A、Bを殴る。
B「いてーよー。」
A「いいか、俺はな、人ができてるから、手を挙げたりするような真似はしねえ。しかしな、良く聞け、お前が屁理屈を言えば、言う程、罪の無い人間が被害を被るんだ、わかったか。」
責任者「な、何言ってるんですか?!」
A「たかし!」
B「おう。」
A「ばきっ!」
B「いてーよー。」
A「どうだ。」
責任者「ど、どうだって言われても、、、、」
A「これだけ言ってもまだわかんねえのか、たかし!」
B「おう。」
A「ばきっ!」
B「いてーよー。」
A「わかったか。」
責任者「わかったも何も、ちょっと、あんた、いい加減、やめなさいよ。」
A「やめるか、たかし!」
B「おう。」
A「ばきっ!」
B「いてーよー。」
責任者「もう、やめろって。」
A「ふざけるな、たかし!」
B「おう。」
A「ばきっ!」
B「いてーよー。」
責任者「わかったよ、わかったから、もうやめてくれ!」
A「まだまだ、ばき!」
B「いてーよー。」
責任者「もう許してくれー。」
A「うるせー、ばき!」
B「いてーよー。」
          音楽『ダイヤモンドヘッズ』
          だんだん盛り上がる。
          照明消える。

          オープニングの始まりだ。
ナレーション「凄い奴らが帰って来た。その名も、劇団○○。かつて○○に君臨し、芝居という芝居を荒らしまくった男達、その名も、劇団○○。聞から闇へと伝えられ、そして歴史に埋もれて逝った男達、その名も、劇団○○。俊敏にして華麗、(役者1)、人々を魅了して止まない硬骨の瞳、(役者2)、蝶の様に舞い蜂の様に刺す、(役者3)。そして今、彼らの新しい歴史が再び、幕を開けようとしている。」
          あわせるように音楽F・O
          中央に、静かにスポット。
          そこにはー枚の紙。
          中央には『セルフコントロール』の文字が、
          しばし後、静かに消えていく。
B「いてーよー。」


ACT 1


          『祝福王』
          一人の女。
          待ち合わせのようだ。
          男がやって釆た。1
男「ごめん、ごめん、遅れてしまって。」
女「もう、知らない。」
男「えー。」
女「う・そ!ふふふ。」
男「いやあ。」
          なぜか、照れる男。
男「今日は君に、贈り物があるんだよ。」
女「え。」
男「これを買うのに、ちょっと手間取ってしまって、それで遅れてしまったんだよ。」
女「何かしら。」
          一瞬の緊張。
          開ける。
女「わあー。」
          指輪だ。
女「ありがとう。」
男「い、いやあ。」
          幸せのー時。
          突如、祝福王が現れる。
祝福王「おめでとう、おめでとう、おめでとう、幸せ一杯でおめでとう。」
男「な、何だあんた。」
祝福王「私の名前は祝福王。全てを祝福する男、おめでとう。」
男「い、いやあ。」
女「ふふ。」
祝福王「おめでとう、おめでとう、おめでとう、幸せでおめでとう。これから貴方がたは永遠に幸せではないでしょう。ケンカもするでしょう。不倫もするでしょう。勢いで結婚して、後から後悔するでしょう。しかし、今一瞬の、貴方がたの幸せを私は心から祝福致します。おめでとう、おめでとう、おめでとう。」
男「い、いやー。」
          男、泣きながら去っていく。
女「たかしさん。」
          女、追う。
祝福王「うん、うん。」
ナレーション「彼の名前は祝福王、全てを祝福する男。彼の名前は祝福王、そこには全てを超越した幸せの花が咲く。」
祝福王「世界を愛し、宇宙を愛し、人に幸あり。」


ACT 2

          『吸血鬼ドラキュラ』
          夜更けの個室。
          そこには、うら若き一人の乙女。
乙女「なんて素敵な夜かしら。こんな夜にはきっと素敵なことがあるに違いないわ。あ、流れ星。『(お願い事:素敵なお願い事がいいです。−作者−)』ふふっ。」
          そこへ一人の男が侵入してくる。
          何と、吸血鬼ドラキュラだ。
男「ふふふふ・・・」
乙女「誰!」
男「ふはははは、私の名前は吸血鬼ドラキュラ、お前の血を吸いに来た!」
乙女「何ですって!」
男「おとなしく観念しろ。」
乙女「あーれー。」
          と、そこへ別の男(男2)。
男2「待てーい。」
乙女「貴方は、」
男「誰だ。」
男2「私は、対吸血鬼用吸血鬼ドラキュラドラキュラ!お前の(これは男のこと)血を吸いに来た。」
男「なにー。」
男2「ぬはははははははは、放念しろ。」
男「く、まさか、こんなことになるなんて・・・」
男2「ぬははははは。」
          ドラキュラの危機。
男「そうだ。」
          懐に手を突っ込む。
男「これでもくらえ。」
          十字架だ。
男「うわー。」
          バカ。


ACT 3

ナレーション「未知なる世界、それは巨大な密林の奥地であり、人知れぬ深海であり、無限の可能性を秘めた宇宙であった。人々は、それら様々な世界に憧れ、期待を胸に幾度となく挑戦して行った。これは、そんなチャレンジャー達の夢と冒険を載せたー大絵巻である。」
          壮大な音楽。
          一人の男が浮かび上がる。
ナレーション「キャプテン、22歳。独身。彼の機敏な行動力は他のついづいを許さない。」
          また一人の男。
ナレーション「博士、46歳。独身。彼の知的作戦により、チャレンジャー達は幾多のピンチを迎える。」
          またまた一人の男。
ナレーション「岩本岩雄、36歳。独身。強い男、カレーを食べる。」
          3人中央に集まる。
ナレーション「今日も、彼らチャレンジサーの冒険は続く。行けチャレンジャー。頑張れチャレンジャー。」
          3人ポーズ。
3人「ここは!」
キャプテン「海だ。なんて深そうな海なんだ。」
博士「このおどろおどろしい色といい、なんて不気味な海なんだ。」
岩本岩雄「この尖った角度といい、なんて恐ろしそうな海なんだ。」
キャプテン「よし、これだけ言えば観客も此処が海だということは分かってくれるだろう。」
博士「キャプテン。」
岩本岩雄「キャプテン。」
キャプテン「よし、探検開始だ。」
二人「おー!」
          と、何処からともなく不気味な笑い声。
声「ほほほほほ。」
キャプテン「だれだ。」
岩本岩雄「あ、お前は。」
          何と、そこにはマジシャン(博士二役)。
二人「マジシャン!」
マジシャン「そう、私マジシャン、探検の前に私の手品見て行きなさい。」
          音楽『オリーブの首飾り』
          マジシャン、手品を始める。
マジシャン「はい、取り出しましたるこの袋。この袋は普通の袋とは違います。この袋に赤いトランプを入れるとあらあら不思議1時間後には黒いトランプに変わってるという仕掛けです。」
          マジシャン、袋にトランプを入れる。
          時計を見て、座り込んだ。
          二人、困った。
          段々暗くなっていく。
ナレーション「続く。」


ACT 4

          タクシー。
          客を待っている。
          客が発た。
客「          まで、急いで。」
運転手「はいよ。」
          客、携帯電話を取り出し、
客「あ、もしもし、・・・俺だ、すまん、遅れた・・・え、いや、わかってる、わかってるけど、・・・・え、今?今          だ、だから、あと、1時間は・・・え、うん、とにかく、そういうことだから、・・・うん、すまん、よろしく頼む。」
          電話切る。
客「ふう。」
運転手「お写さん、急いでるのかい。」
客「え、ああ、大事な取引でね、これ落とすと大変なことになるんだけど、・・・この調子じゃ、どう考えても無理だね。」
運転手「あと、何分だ。」
客「え、」
運転手「あと、何分で着けばいいんだ。」
客「あ、あと、5分ですけど。」
運転手「5分か、・・・よし、掴まってな。」
          と、意気なり猛ダッシュ。
客「急いでくれるんですか、すいません。」
運転手「なあに、困ったときはお互い様よ。おっと。」
          右カーブ。
          左カーブ。
客「あ、信号が・・・」
運転手「何だって!」
客「い、いえ、別に・・・」
運転手「おっと!」
          j妻帯
運転手「あぶねえ!」
          ドン。という鈍い音。
運転手「たくよお。」
          それでも走っている。
客「・・・今のは?」
運転手「ただのパパアだよ、おっと。」
          カーブ。
          客、青ざめ始めた。
客「う、運転手さん、もういいです。ここで、いいですから、降ろして下さい。」
運転手「何、駄目だよ、あんた。あと・・・2分しかねえんだぜ、遅れちまってもいいのか。」
客「いや、それは、本当は困るんだけど、でも、このままじゃまともに商談なんてとも思う訳で・・・」
運転手「おっと。」
          カーブ。
          カーブ。
運転手「で、」
客「・・・な、なあんちゃって。」
          タクシー走る。
          と、渋滞。
客「あ、こ、困りましたねえ、はは、これしゃ、急げないや、はははは、残念、残念。」
運転手「仕方ねえなあ。」
          急ハンドル。
客「え、」
          ガラスの割れる音。
          悲鳴、その他。
客「あーーーーーー!!」
          ストップ。
運転手「着いたぜ、1分前だ。ほら、何してる、早くしないと遅れるぜ。」
          放心状態の客。
運転手「グッド・ラック。」
          テーマ音楽
ナレーション「タクシドライバー、山本大五郎58歳、彼は、義理と人情に厚い世間知らずなタクシードライバーである。」
          ポーズ。
          煙草を吸った。
運転手「ふう、・・・」
          と、何処からともなくサーカス。
          団長、現れる。
団長「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ、本日はようこそ我が          サーカスヘ。今宵貴方に送る夢また夢の幻の世界サーカス。遥か古の時より今まさに現代に蘇る魅惑のー時サーカス。さあ、それでは我がサーカスが誇る今世紀最後のビッグスターの登場です、『キャンディー・早坂』」
          大喚声。
          踊り子、登場。
          踊る踊り子。
          ポーズ。
          団長もポーズ。
          しかし、唯ーの客である運転手の姿はもうない。
団長「・・・あれ。」
踊り子「・・・・」
団長「帰るか、キャンディー。」
踊り子「御免なさい、団長。私が、私が、」
団長「そんなことないさ、お前は十分頑張っている。」
踊り子「だって、私、可愛くも何とも無いし、自分でやってて気持ち悪いし、」
団長「そんなことさ、キャンディー。ほら、その証拠に、こんなに沢山の拍手が。」

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