傘の革命
『傘の革命』
【キャスト】
南 高校2年生。唯一の生徒会長候補。少し気の弱いところがある。(この脚本では女)
北村 生徒会役員。お調子者で、南を振り回すことも多い。(この脚本では男)
大澤 南・北村と仲が良い。(この脚本では男)
小林 高校1年生。(この脚本では女)
西野 教員。(この脚本では男)
東出 教員。(この脚本では女)
生徒A~I(4、5人くらいから、大人数でも。)
【板付き】
舞台中央に西野と東出がいて、「校門指導」をしている。上手から生徒が一人ずつ二人の前に来て、頭髪・服装・傘のチェックを受けてから下手に歩いていく。雨の日。M:雨の音
場面1
(生徒は上手から来て、チェックを受けて下手に流れる。)
西野 頭髪よし、服装よし、傘よし。OK。
東出 はい次~
生徒A おはようございます。
西野 頭髪よし、服装よし、傘よし。いいよ。
東出 次~
南 おはようございます。
西野 おお南か!頭髪完璧、服装完璧、傘完璧。さすが生徒会長だな!
南 先生、私まだ会長「候補」ですよ。
西野 あれそうだっけ、すまんすまん。
東出 今度の選挙の演説、楽しみにしてるよ。
南 え、あはは……ありがとうございます。(下手へ)
生徒B おはようございまーす。
西野 おはよう。頭髪よし、服装……んー、スカート短くないか?
生徒B えー、そうですかあ?
東出 ちょっと見せて。うーん……
(3人がやりとりしている間に、上手側で2人が話している。北村が前で小林が後ろ。)
北村 (小林に向かって)おい、おまえ1年か?
小林 あ、はい。
北村 だよな。お前その傘、まずいぞ。
小林 え、傘がですか?
北村 うちの学校、校則で透明のビニール傘か、折り畳みは黒無地って決まってんだよ。
小林 ええ、傘の色まで決まってるんですか?
北村 そうだよ。お前それ、絶対没収されるぞ……(自分のカバンを漁って、折り畳み傘を取り出して)おい、これ。
小林 ?
北村 これ貸してやるから、こっちを差しておけ。
小林 傘持ってるのに、なんで折り畳み傘もあるんですか。
北村 それは……俺は整理整頓が苦手なんだよ。うるせえな。とにかくこれ使え。
小林 え、あ、ありがとうございます。(傘を差しかえる)
(さっきの3人のやりとりが終わって、次は北村の番。)
東出 次~
北村 おはようございます。
西野 頭髪よし、服装よし、傘よし。行っていいぞ。
(北村は下手に流れたあと、小林の様子を眺めている)
東出 次~
小林 おはようございます。
西野 頭髪よし、服装よし、傘よし。
小林 ありがとうございます。
東出 あれ。ねえ、その傘(さっき差してた長い傘)どうしたの?
小林 え、あ、えっと……
(小林、下手に目をやる。北村が上手から「ひろった」と大げさに口パクして伝える。)
小林 その、拾った、というか。誰かの忘れ物かなって。
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