オーディション
オーディション

登場人物

嬉野: 売れない俳優
大出: とあるドラマのオーディション担当
広井: そこそこ売れてる若手女優
坂野: 立てこもり犯

~~本文~~

嬉野: お前…自分が何したか分かってんのか!?
大出: はーい、カット―。
嬉野: どうしてだよ、俺の知ってるお前はそんなことする奴じゃない…!
大出: はーい、止めてくださーい。
嬉野: 全部、知ってるよ…お前の家族の事とか…。そうだよ!第一お前、妹はどうするつもりだよ!
大出; はーい、そこまで!
嬉野: あの子は…あの子だけはお前の事最後まで信じてたんだぞ!!なのに、なんで…なんで…!
大出: はいはいカットカーット!そこまでにしてください!!!

(嬉野、やり切った感のある顔で大出の方を向く。)

嬉野: どうですか!?最後のセリフはかなりいい感じじゃありませんでした!?
大出: ……
嬉野: あ、そうですよね!このセリフだけじゃ何とも言えないですよね!次のセリフ行きましょうか!
大出: …いえ、オーディションは以上となります。結果は近日中に連絡させていただきます、本日はお疲れ様でした。
嬉野: そ、それ…不合格ってことですよね…
大出: いえ、結果に関しましては、こちらの方で他の方とも比較した上で決定させていただきますので…
嬉野: お願いします!僕このオーディションに懸けてるんです!このドラマで役取らないと事務所クビになるんです!お願いします!
大出: そう言われましても、こちらからは何とも。
嬉野: ま、待ってください!せめてもうちょっと、もうちょっと演技を見てください!
大出: (大出、ため息をついて)あのねえ、言わせてもらいますけど、言われたタイミングで全力を出せない役者なんて結局二流なんですよ。それと、
嬉野: それと、何ですか…?
大出: あなたの演技、致命的に臨場感が足りてないんです。役者として食べていくのは正直厳しいと思いますよ。
嬉野: でも…
大出: でもじゃない。君だっていい大人なんだから、大人しく帰ってください。僕もこの後予定あるんでこんな事に時間使いたくないんですよ。
そんな風に怒鳴りあいをしているとドアが開き、女性が入ってくる。
広井: 失礼しまーす…。
大出: あれ?広井ちゃん?
広井: あ、良かった。大出さんここにいた。
嬉野: ちょっと、今大事な話をしてる最中なんです!誰だか知らないですけど、邪魔しないでくれません?
(広井、大出の方を向き直り)
広井: 誰だか知らないって、私これでも女優やってるんだけど…。っていうか、誰ですか、この人?
大出: …広井ちゃんには関係ない人。
嬉野: 関係ないことは無いでしょう!僕は未来のアカデミー賞俳優ですよ!?
大出: で、何しに来たの?外、オーデション中って書いてなかった?
広井: それはこっちのセリフですよ、大出さんでしょ?チキン頼んだの。
大出: うん?何の話?
広井: だから、大出さんが頼んでたウーバー、届いたんですって。
嬉野: え?ウーバー?もしかして…僕のためにですか??
大出: いや、俺そんなの頼んだ覚えないけど…
嬉野: ひょっとして、……(ハッとしたように)僕の主演決定サプライズパーティですか!?
広井: いくらクリスマスに一人で寂しいからって、今回だけですよ、大出さん。
大出: いやだから何の話……
広井: あ、どうぞー、入っていいですよ。
嬉野: ちょっと、無視しないでくださいよ~ねえってば、聞こえてます~?
(広井、ガン無視で男を招き入れる。)
(坂野、部屋に入り後ろ手で鍵を閉める。)
広井 入り口で受け取るって言ったんですけど、熱いからもしものことがあって女優さんにやけどさせちゃいけない~って言われちゃってー、いや~私も有名になったもんですね~。
(広井が坂野に背を向けてるうちに坂野、銃を取り出し、広井の首に手を回し人質にとるようにする。)
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