夢とシナリオ
「夢とシナリオ」
作:井上依香

・登場人物
波堂……25歳男。ゲーム廃人ニート。高校生の頃は、小説家を志望していた。
友希……25歳女。波堂の高校時代の恋人。絵が得意で、ゲームを作ろうとしている。
母……波堂の母。

・舞台セット
中央に布団
その周りに時計やらゲームカセットやらパソコンやらが散らかっている

・本編

 RPGの音楽が流れる
母(声のみ)「あんた!起きなさい!ご飯よ!」
 中央に寝っ転がっていた波堂、起きる
波堂「ん、ん……今何時?」
 波堂、布団の脇のスマホを手にとる
波堂「3時か……」
波堂「ゲームのログボを手に入れなきゃ、ログボ、ログインボーナス……」
 ゲームの音が鳴る
波堂「あ、今日はログイン画面は凪ちゃんか……『波堂さん、今日も元気に1日頑張りましょー!』だって、可愛いやつう」
母「ねえー、起きた?ご飯よ!!」(声のみ)
波堂「母上うるさっ。しょーがねえ、この波堂が飯を喰らい尽くすかあ」
 波堂、立ち上がり、下手に退場
波堂「この時の俺は、仕事もなく、毎日ぐうたらするだけだった。正直苦しかったが、ゲームに囲まれて暮らせるだけありがたかった。親には将来を心配されたが、それを考えるのはめんどくさくて、何もしなかった。これでいいと思ってた。てか、このまま生涯終えるんだろうって思ってた」(声だけ)
 波堂、母、下手から登場
波堂「え、友希ちゃん!?」
母「そう、きたのよ」
波堂「なんで?いつ?」
母「なんでかはわからないけど……きたのは、あんたが寝てる時。朝9時くらい?」
波堂「はやっ」
母「まあ友希ちゃん高校時代からあんたのこと毎朝叩き起こしに訪問してたじゃない。朝早いんだろうねえ」
波堂「それで起きたこと一回もねえけどな」
母「自慢することじゃないでしょ。好きな女の子が起きて!って言ってたんだから、答えてあげればよかったのにねえ」
波堂「俺の睡眠力は53万!」
母「はっ、つまんな」
波堂「でもほんと、なんできたんだろうな」
母「謎よねえ……」
波堂「別れてもう5年経つのに」
母「ああ、あんたがニート極め出したから、別れてって言われたのよね」
波堂「掘り返すなよ……」
母「ほんとのことじゃない。ねえあんたさ、いつまでこの生活続けるの?」
波堂「またこの話?」
母「私はあなたのこと心配して言ってるの」
波堂「はい出ましたー。アニメでよくきく陳腐なセリフ」
母「こんな絵に描いたようなニートされたら、こっちも絵に描いたようなセリフを出したくなるわよ」
波堂「アニメは絵じゃねえ!」
母「変な反抗心ね」
波堂「俺は一生アニメとゲームに囲まれて暮らす。凪ちゃんが第10章チャプター12で言ってたんだ。『今が幸せなのが一番よ』ってね」
母「誰?凪って」
波堂「ワイの推し」
母「ああ、あそこのポスターの」
波堂「そうそうそう」
母「ちょっと目がデカすぎしない?だめよこんな存在しないデカさは」
波堂「いいだろ!別に」
母「いやよくない」
波堂「もう、厳しいんだからー」
母「話戻していい?」
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