アルカロイドと春の嘘
名門お嬢様学校が舞台ですが、羽風役を男の子にして、共学に変えて頂いても大丈夫です。
  
宮代櫻子(みやしろさくらこ)平凡な女子高生。人気者の絢音の友人。
神宮寺絢音(じんぐうじあやね)学校の人気者で誰からも好かれる優等生。櫻子の友人。飛び降り自殺で亡くなった。
羽風糸(はかぜいと)図書委員会の委員長。一人称は「僕」。図書室を自分の城と言い、いつもそこで過ごしている。

絢音の母親と先生→この2人はひとりで兼任できると思います。
  
舞台のほとんどは学校の図書室です。
長テーブルと椅子二脚。(位置はご自由に)
背景は、図書室なので本棚など。(無くても良いです)下手側の席が羽風の定位置。
  
開幕
  
舞台前方 スポットライト。
櫻子と絢音 横並びで、手を繋いで立っている。(後ろに椅子)
  
櫻子&絢音「大人たちは言う。『青春は、美しいものである』。」
  
櫻子「彼らは知らないのだ。少年少女たちの微笑みは、時に残酷で、時に狂気を含んでいることを。」
  
絢音「答えのわからない難問を目の前に、もがき、苦しみ、それでも、前を向いていくしかない。」
  
櫻子「わたしたちは、この青い春を泳ぎながら、どうにか正解を見つけ出そうとする。」
  
絢音「正解なんて、ーー永遠に分からないのに。」
  
櫻子と絢音、手を離し、椅子に座る。
上手から先生が現れる。
  
先生「皆さん、いいですか?命は、何よりも大切なものなのですよ。あなたが生まれたこと自体、驚くべきこと、そう、奇跡なのです。ですから、どうか自分を慈しみ愛してください。そして、人生を楽しんでください!」
  
櫻子と絢音、ゆっくりと顔を向かい合わせ、微笑む。
  
櫻子「絢音。先生、今日はとても気合いが入っていらっしゃるわね。」
絢音「見ていられないわ。下手な演劇を見せられているよう。まったく胡散臭いったら。」
櫻子「そんな言い方ないでしょう。私たちに素晴らしいことを教えてくださっているのよ?」
先生「そこ!神宮寺さんに宮代さん!?大切な話の最中ですよ、私語は控えなさい!」
  
2人とも、肩をすくめる。
  
櫻子「…..まあ、先生ったら。すごく怖い顔。」
絢音「だけど、おかしいと思わない?なぜ自分の生死を、他人にどうこう言われないといけないの。どうせ人はいつか死ぬのに。それが早いか、遅いかだけのこと。」
櫻子「ふーん。あなたって、けっこう現実主義者なのね。」
絢音「はいはい、つまらない女でごめんなさいね。」
櫻子「悪いとは言っていないわ。絢音のそういうところ、わたしは好きよ。」
  
2人とも、笑顔のまま前を向く。絢音の方だけ照明が暗くなる。(絢音は、椅子を持ってはける)
  
櫻子「特別授業で、命の尊さ、生きることの素晴らしさを教わった日。美人で、人気者で、誰からも好かれていた親友の絢音は、ーーー校舎から飛び降りた。」
  
櫻子「その日は、奇しくも彼女の誕生日。クラスメイトからお祝いされ喜ぶ、その笑顔は忘れられない。」
  
櫻子、立ち上がる。上手から憔悴しきった喪服姿の絢音の母が出てくる。
  
絢音の母「櫻子ちゃん….。」
  
櫻子、絢音の母のもとへ駆け寄る。
  
櫻子「お母様….。この度は本当に….何と申しあげたらいいか….。」
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