あらすじ
「サカマタ」と言われる大型海生生物の飼育員とひとりの学生の対話劇。
飼育員の〈イソナ〉はサカマタのショーをよく見に来ていた〈幸助〉という少年を夜の水族館に招く。そこにはサカマタの世話をするための水槽があり、幸助は普段は近くで見られないサカマタと触れ合っていく。どうやらイソナはいつも平日の昼間にショーを見に来ていた幸助を案じて呼んだようで、親身に話を聞くイソナに対して幸助は徐々に心を開いてく。ただそのイソナ自身もある問題を抱えていた。
―日常にさ、たくさん転がってるんだ。私の小さな変が。職場で理不尽に叱られた時も、スーパーでレジ袋を買えなかった時も、道を譲れなかった時も。あ、私人と比べて変だなって。そういう小さな変が寄り集まって、いつか大きな変になってしまう―
どうか、人とは違うと悩む人がせめて今日だけでも生きられるように。