トリガーハッピーの師弟
殺し屋シリーズ2部:9話
 深夜の大都会の喧騒に紛れ、サイレンの音が甲高く鳴り響く。
 中心地にそびえる高層ビル「メガロポリス・タワー」。
 今まさに凶悪な暴徒の襲撃を受けている権力者の象徴を大勢の警官が包囲している。

 ビルを見上げながら通話する男の姿。

ウィリアム:一言で言うなら最悪だな。
ウィリアム:……いや、訂正しよう。状況はさらに悪くなってる。
ウィリアム:主犯格はマフィア「ベルトリオファミリー」三代目頭目、「アッシュ」と呼ばれる男。
ウィリアム:さらに連続猟奇殺人犯「霧のリグレット」の両名。
ウィリアム:市長を人質に取った上、確認されただけでも10名以上のSPを殺害。
ウィリアム:目下、アッシュ派の構成員たちと交戦中。依然として劣勢、と。

 男は疲れたように目頭を押さえる。

ウィリアム:全く……奴(やっこ)さん方は一体何を考えてる?
ウィリアム:盛り上げてくれるじゃないか……。
ウィリアム:サスペンスドラマなら良い数字が取れそうだ。

 通話先の相手がウィリアムに指示を出している。
 応えるように小さくため息が漏れる。

ウィリアム:……ああ、わかってる。人手が足りてないんだろう?
ウィリアム:俺も出るよ。腕も本調子じゃないし、できれば鉄火場には出張りたくなかったんだがなぁ。
ウィリアム:じゃあ切るぞ。コキ使われた分、美味い酒でもおごってもらうからな。

 通話が切られ、銃を携えるウィリアム。
 合図とともにタワーの内部へと侵入していく。

ウィリアム:やれやれ、裏のゴタつきは裏で始末をつけるんじゃなかったのかな。
ウィリアム:カタギを巻き込まないでくれよ、お嬢さん方。

 内部はすでに銃弾が飛び交っている。

 ――別フロア、通路。
 二人の女性が並んで歩いている。

ブルズアイ:こっちでいいのぉ? ムカデちゃん。
センチピード:ええ。連絡通路を抜けて、あとはひたすら上。
ブルズアイ:やっぱエレベーター使った方がよかったんじゃなぁい?
ブルズアイ:こんなに歩かされるなんて思わなかったわぁ。
センチピード:駄目よ。張ってる連中を殺(と)ったりでもしたら後から湧いてくる。
センチピード:あれが「ベルトリオファミリー」でしょ? 噂の。
ブルズアイ:でしょォね。どの子も「いかにも」って感じィ。
ブルズアイ:好みじゃないわぁ。
センチピード:数だけは多いわ。穏便にいきましょう。
ブルズアイ:はァい、了解。
センチピード:……あの子と違って聞き分けが良くて助かるわね。
ブルズアイ:ふふっ、何気に三人で仕事するのって久しぶりじゃない?
センチピード:さっそく別行動なワケだけど……。
センチピード:全く、相変わらず気負ってるわね。
ブルズアイ:そうねぇ。相手が相手だし頭に血が上ってないといいけど。
センチピード:「最高峰」が伊達じゃないってところ、見せてもらいたいものだわ。
ブルズアイ:ちゃちゃっと終わらせて、早く飲みに行きたいわぁ、私は。
センチピード:そうね……。

 ふと、センチピードの足が止まり手でブルズアイを制止する。

ブルズアイ:ん、何ィ?
センチピード:待って、ブルズアイ。蟻が一匹。
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