そのさき~ノブのあるくらし
そのさき―ノブのあるくらし―
  
安富  清掃業者。32歳、竹井の先輩。必要ないことは考えない主義。作業服
竹井  清掃業者。25歳、安富の後輩で新人。思いついたことをそのまま口にする癖がある。作業服
足立  記録員。27歳、常に手帳とペンを持ち歩いていて、必要ないことまでメモをとっている。同じ服を5着持っていて着回している
村本  ノブをひねる人 30歳。広告代理店勤務。以前は明るい性格だったがここ最近体の不調が多く、最近部署を異動に  なった。スエットを着てノブをひねる
佐々木 足立の上司。探偵事務所所長。40歳。偶に様子を見に来る
佐和田 点検担当。村本の同僚。佐々木は知り合いのようだ








#1

 どこかの町中の広場のようなところ。ノブがついた柱がある。
 道行く人は興味を持たずに通り過ぎていく

足立がやってきて、ノブの死角になる位置をとる。

村本がやってきてノブの前でなにやらぼうとしている。
そこに竹井と安富がやってくる

竹井 あれがノブっすか?
安富 そう。あいつが帰ったら掃除な
竹井 うす・・・・・・なんか無気力そうな人ですね
安富 ここに来るやつはみんなそうだよ
竹井 一日何人くらいくるんですか
安富 わかんねえ。けど決まって正午くらいに一人くるな。大体の場合3ヶ月くらいで別のやつに変わるけど
竹井 へぇ。案外ころころ変わるんですね
安富 正午にノブがひねられた後清掃してくださいって言われてる だけだから、もしかすると別の時間に来てるやつがいるかも  しれないぜ
竹井 安富さんもよく知らないってことっすか?
安富 まあな

 正午の鐘が鳴る。村本は鞄を置き、ノブをひねる。
足立、再度メモをとっている。
安富は村本の顔に見覚えがあるようだが確信が持てずに居る
 
竹井 ・・・・・・何やってるんすかね、アレ。暇なんスかね
安富 平日の真っ昼間だしなァ。昼休みって感じでもないなぁ
竹井 昼休みならのんびり飯食いたいですよね
安富 あ、飯の時間をほかの人とずらすためかもしれんぞ
竹井 えー、そうだとしてもなんかこう、もう少しましなことしま  せん?
安富 おいおい、何がましかは人によるぞ。案外楽しいのかもしれん。アレ。
竹井 そんなことないと思うんすけどねぇ
安富 しっかしどこかで見た顔なんだが
竹井 知り合いなんですか?
安富 いや、なんかこう、もっと遠い感じ
竹井 なんすかソレ

 話している間に村本はいなくなっている。
 安富、それに気づいて

安富 あれ、いつのまに。まあいい。やるか。さっき説明したとおりにな
竹井 うーい

 ノブのほうに歩いていく二人。
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