眠り姫
眠り姫
                                   作:海部守

時: 現代1990-2020年あたりか

所:日本のどこか
   高校教室、高校体育館裏の畑、自宅A、自宅B、病院会議室、病院病室、会社、弁当
   屋、河川敷土手など

登場人物
・本田マコ   :植物状態より戻ってきた女性。
・秋本キミヒコ :息子に会社を取られ離婚させられた男性。
・高校生マコ  :二世信者。信仰の関係で進学できない。
・高校生キミヒコ:マコの同級生。親が嫌いで進学したくない。
・マコ父    :てんたま教信者。
・マコ母    :てんたま教信者。
・佐田野    :天のたましい教団(てんたま教)地方教会員。
・キミヒコ父  :キミヒコに事業を継がせたいマン。
・医師     :てんたま総合医療センターの医師。
・看護師    :てんたま総合医療センターの看護師。
・アヤコ    :キミヒコの妻。タツヒコの母。
・タツヒコ   :キミヒコの息子。母親と同じようにキミヒコを憎んでいて会社や財産
        を奪い取ることを考えている。高校生キミヒコがやっても良い。
・弁当屋店員  :ごく一般的な店員。

   ※てんたま教とは……男尊女卑の教えであり、女性は常に支える立場に押し込めら
            れ重要ポストにつくことはない差別的な宗教である。

   舞台前面かホリゾント幕に現在進行している年を投影できるとわかりやすいかも。
   ※暗転後多すぎるので修正かさらなる工夫をする可能性あり。

第一場
   高校教室。
   ここで出てくるマコ、キミヒコは高校生マコ(高マコ)と高校生キミヒコ(高キミ)。
   二人の席は離れている。
   マコには友達も少なく机の上に座って友達と談笑している高キミが鬱陶しかった。
   高キミが視線を高マコに向けると高マコはすぐにそらす。
   教師に呼ばれて二人横並びになる。何か説明を受けている。

高マコ  なんで私がこいつと作業するんですか?

   高マコは教師に食って掛かる。隣りにいる高キミは複雑そうな顔をする。

高キミ  しょうがないじゃん。人がいないんだから。帰宅部は俺たちだけだし。
高マコ  あんたは黙っててよ。先生、他の人に変えてください。じゃなきゃ私一人でい
    いです。
高キミ  あぁ、じゃあ、先生いいです。俺1人でやります。
高マコ  バカじゃないの。一人でやったら下校時刻まで終わらないでしょ。
高キミ  俺がいなかったら一人でやる気なんだろ? どっちがバカだよ。
高マコ  あんたみたいなやつ大っ嫌い。
高キミ  あっそ。勝手にどうぞ。
高マコ  待ちなさいよ。

   ぐるりと舞台を一周する二人。
   スタスタ歩く高キミに高マコが追いついては文句を言い置いていかれて追いかける。
   みたいなのを繰り返しても良い。
   やがて場所は体育館裏の畑に変わる。
   鎌を拾って草むしりを始める二人。その距離は遠い。

高キミ  担任だからって生徒をこき使うのは良くないよな?
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