美しき恋のカタチ
0:ある会社
0:男、疲れた様子で仕事をしている

男:ふぅ……今日も残業か。

0:パソコンに向かう男

男:(N)新卒でこの会社に入社して、もう随分経つ。
男:派手さはないが、堅実な成績を収め続け、それなりのポストも与えられた。
男:いわゆる「中間管理職」だ。
男:とにかく、慌ただしい毎日。
男:部下と上司の板挟みからくる過大なストレス。
男:正直言って、労働環境は劣悪だ……。

0:ふと、時計を見る

男:もうこんな時間か。
男:帰ろう。

0:荷物をまとめ、帰路につく男

男:(N)しかし、こんな俺にも、支えとなっている楽しみがある。

0:男、帰宅する

男:ただいまー。

男:(N)と、呼びかけてみたところで返事がくるはずもない。
男:俺は独身だ。
男:ありふれた1Kの賃貸マンション。
男:ペットは飼育禁止。

男:さて……。

男:(N)パソコンを起動する。
男:会社の仕事道具とは違い、俺の大切なライフ・ワークアイテムだ。
男:しばらくしてディスプレイに表示されるのは……。

ティナ:もー、待ちくたびれちゃったよ、ルーク!
ルーク:ごめんごめん。
ルーク:お待たせ、ティナ。
ティナ:今日のクエスト、デストロイ級だよ!
ティナ:敵のレベルもめちゃくちゃ強いみたいだし。
ティナ:一筋縄じゃいかないみたいだよ~、大丈夫?
ルーク:平気だよ。
ルーク:ティナと一緒だからね。
ティナ:嬉しいこと言ってくれるじゃん!
ティナ:頼りにしてるよっ!
ティナ:じゃ、行こっか!

男:(N)……そう、目の前に広がる仮想現実。
男:数年前から、俺はオンラインゲームにどっぷりハマっていた。
男:自分ではない誰かになり、強敵と戦い、
男:コミュニティを形成したり。
男:その全てが刺激的で最高に楽しい。
男:会社という檻(おり)から解放された俺は、
男:一人の戦士「ルーク」として、名刺を剣に持ち替え戦うのだ!

ティナ:ルーク、そっち行ったよ!
ティナ:お願いっ!
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