あらすじ
外周にぐるりと吊るされたカンテラの灯。
骸のように聳えた建造物が立ち並び、天を覆う。
常に空気は薄暗く、陽の光が地を照らすことはない。
――そこは、「カンテラ町」。
青白く揺れる灯がともる町。
その光は、彼岸の者から身を守り、
彼岸の者を逃さない。
郊外にひっそりと佇む一軒家。
特殊な病状を呈する焔と一人息子の鱗が暮らす
その家に依頼を受けた紫雲が訪れる。
然れど歩む足取りは覚束ず。
着実に忍び寄る「飢え」の苦しみを
確かに男は感じていた。
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【登場人物】
・紫雲(しうん)(♂)
・九厓(くがい)(♂)
・焔(ほむら)(♀)
・鱗(りん)(不問)