大きな桜の木の下で
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巫女・・・・・・神から強大な力を授かった女性。もらった力を使い村を妖怪や悪霊から守っている。
化け猫・・・・・・元々野良猫だったのが、最近になって化けた猫。長く生きることになってしまい、生きる意味を見出せずにいる。

少年・・・・・・現代の化け猫が営む茶屋に通う不登校の中学生。



化け猫 『春。満開に咲き誇る大きな桜の木の下。俺は生きる理由を見つけることができず、木の幹に寝転がっていた。』

巫女  おい、そこの化け猫。

化け猫 『そんな俺に声をかけてきたのが人間の彼女だった。色白な白衣に緋袴に身を包んだ巫女だ。黒い瞳につり目が印象的な、いかにも気の強そうな彼女。後に俺が生きていく理由となるのだが、このときの俺はまるでそんなふうには思っていなかった。』



巫女  『人間はもちろん、妖怪すら寄り付かない山奥に、開けた場所がある。そこには大きな桜の木が立っている。神の目すら届かないらしいこの場所は、私が唯一気を休めることができるところだ』

化け猫 はぁ・・・・・・

巫女  『だから、桜の木の幹に化け猫が仰向けに寝転がってるのを見た私はとても驚いた』

巫女  お前は、なんだ?どうしてこんなところにいる?
化け猫 あ?ああ、別に。理由があってここにいるわけじゃない。森の中をふらふらしていたらここにたどり着いたんだ。ちょっと疲れちまったから休憩中。ここはいい場所だな。
巫女  おかしいな。ここには私しか辿り着けないはずなんだが・・・・・・見たところお前はただの化け猫だし・・・・・・
化け猫 おい。別に化け猫に誇りを持ってるわけではないが、少々失礼じゃないか?
巫女  ・・・・・・傷つけたようなら失礼した。
化け猫 いや、まあ別に。お前は・・・・・・見たところ巫女のようだな。
巫女  そうだ。
化け猫 ちょうどいい
巫女  何が?
化け猫 退治してくれよ
巫女  え?
化け猫 俺のこと。退治してくれよ。
巫女  ・・・・・・
化け猫 あんたなら簡単だろ?こんな化たばかりの雑魚妖怪。あんたが相当な力を持っていることくらいは流石にわかる。
巫女  ・・・・・・
化け猫 さあ。早く。
巫女  ・・・・・・(化け猫の隣に座る)
化け猫 なっ、なんのつもりだ?どうして俺の隣に座る?
巫女  お前はここにくるまでに悪さをしたのか?
化け猫 は?
巫女  人を襲ったり、村を壊したり。
化け猫 いいや。
巫女  じゃあ別に私が退治をする理由はないだろう。
化け猫 ・・・・・・
巫女  他の妖怪たちに比べて、随分話のわかるやつのようだし。どうして退治してほしいのか、理由も気になる。私はお前のこと・・・・・・少し知りたい。
化け猫 あんた、随分と変わった巫女さんだな。
巫女  まあ、そうかもしれない。だけどお前も妖怪にしては変わっている。
化け猫 ・・・・・・言われてみたらそうかもしれない。
巫女  もしかしたら似たもの同士なのかもしれないな、私たちは。
化け猫 まさか。
巫女  それを確かめるためにもお前のことを知りたい。
化け猫 あんたは俺に興味津々だな。
巫女  お前は違うのか?
化け猫 ・・・・・・わからない。
巫女  まあいい。とにかく教えてほしい、お前のこと。

化け猫 『桜が咲き誇る木の下で、俺は変わり者の巫女と出会った。』

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