SATORU
『SATORU』

【登場人物】5名(不問5)+α(黒い煙を人が演じる場合)

サトル:心臓と記憶を無くした男の子。(性別変更可)
エト:勇気の白猫。
フェン:知恵の青猫
プロックス:力の黒猫。
ウロタス:ウロ(黒い煙)を操り世界を消そうとする謎の存在。

【ジャンル】熱血王道ファンタジー
【上演時間】30分~40分

【あらすじ】
 サトルが目覚めると、心臓と記憶を失っていた。見知らぬ世界はウロと呼ばれる黒い煙に全てを消されようとしていた。「世界を救ってほしい」と三匹の猫に頼まれたサトルは・・・。

 年齢・性別は一切不問。

 ウロ(黒い煙)は人が演じるか、何かで代用してください。

【本編】

■ウロタスの呟き

ウロタス:僕は僕を変えられない。だから世界に僕を合わせるなんてできない。世界が僕に合わせればいいんだ。それが出来ないなら世界なんかいらない。消えてしまえばいい。世界が消えないなら、僕が・・・消してやる。消してやるんだ。

■フェンの家

 エトが激しく扉をノックする。

エト:フェン! フェン、俺だ。エトだ。早く開けろ!

 フェンが扉を開ける。

フェン:こんな朝早くにどうしたんですか、エト?
エト:中に入れてくれ! 早く!
フェン:騒々しいですね。おおっと。

 エトが強引に中に入って扉を閉める。

エト:(安堵のため息)フェン、時計が・・・トライフの大時計が止まってるんだ!
フェン:なんですって!? いつから!?
エト:1時間くらい前か。
フェン:ごめんなさい。本を読んでいて気がつきませんでした。
エト:フェンが本を読んでる時は何を言っても聴こえないからな。仕方ねぇよ。
フェン:こんな大変な時に。本当にごめんなさい。
エト:それはもういい。フェンがこの前、俺に教えてくれた通りだった。時計が止まった途端に真っ黒な化け物がいきなり現れて・・・みんなが襲われたんだ。
フェン:黒い化け物・・・ウロが現れたんですか?
エト:そうだ。そのウロってやつが、色んな所から湧いて出てきて、それで森のみんなを消しちまったんだ。俺とプロックスは必死に山を登って逃げてきた。
フェン:プロックスはどこに?
エト:先にハツの丘に向かわせた。そこに行けばカミサマに出会えるって、フェンがこのまえ教えてくれたろ?
フェン:よく覚えてましたね。すぐに私たちもハツの丘に行きましょう。
エト:よし。わかった。

フェン:(M)永遠に時を刻むトライフの大時計。私たちが産まれるずっと前。この世界が出来た時からその時計は動いている。いったい誰が、なんのために。その謎を解くために、私は時計のことを長い間調べていた。そしてある日、古い書物の中から時計についての記述を見つけた。トライフの大時計は、ウロと呼ばれる黒い化け物から世界を守っている。時計が止まると、ウロがこの世界を飲み込んでしまう。つまり、時計が止まった時が、この世界の終わりなのだと。それを止める唯一の方法は、ハツの丘に現れるカミサマに時計をもう一度動かしてもらうこと。時計を再び動かすのはカミサマにしかできない。でも、カミサマはそのあと・・・。

■ハツの丘

 サトルが歩いてくる。心臓の部分が黒い服を着ている。

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