オグリコールをもう一度
~オグリキャップ伝説~
『オグリコールをもう一度 ~オグリキャップ伝説~』

【登場人物】2名(男性1、不問1)

駿:20歳。昨年、父親を事故で亡くす。競馬ファンだった父の気持ちを知るために東京競馬場にやってきた。(劇中で名前は呼ばれません)
哲:年齢不詳。生粋の競馬ファン。最終レースを前に軍資金が底をつき、駿に声をかける。(劇中で名前は呼ばれません)

【上演時間】20分~30分

【あらすじ】

 1990年12月23日、オグリキャップは引退レースの有馬記念で有終の美を飾る。
 それから時が流れて1996年2月4日。
 東京競馬場で一人の女性が競馬ファンの男に出会う。

 男2で演じる際は一人称や語尾を修正してください。

 ※この物語は史実を元にしたフィクションです。 

【本編】

駿:1996年2月4日、日曜日。東京競馬場にて。

 哲が駿に声をかける。

哲:お、姉ちゃん、競馬は初めてだね?
駿:え? あぁ、はい。そうですけど。
哲:やっぱり。だと思ったよ。
駿:何なんですか。私に何か用ですか?
哲:いや、用ってわけじゃねぇけどよ。なんでわかったと思う?
駿:は?
哲:姉ちゃんが競馬が初めてだって、なんで俺がわかったと思う?
駿:・・・わかりません。え、聞いてほしいんですか?
哲:そうだよ。ちょっと言ってみて。
駿:なにを?
哲:「なんでわかったんですか!?」って驚愕で目を見開いている感じで。
駿:なんで私がそんなこと。
哲:いいから早く。
駿:ナンデワカッタンデスカー。
哲:目だよ。俺みたいに何年も競馬場へ足を運んでる人間は、そいつの目を見るだけで、そいつの競馬のキャリアがわかるようになるんだ。
駿:はあ、そうですか。
哲:いや、ホントだって。
駿:まあ実際、競馬場に来るのは今日が初めてですから、馬券を買うのに慣れてないのは確かです。
哲:そんなこったろうと思ったよ。そこで、東京競馬場のベテランの俺が、ビギナーの姉ちゃんに色々教えてやろうと思ったわけよ。
駿:いえ、結構です。
哲:まあそう言うな。俺が競馬の楽しみ方ってやつを教えてやるからよ。
駿:何が目的なんですか。ひょっとしてナンパですか?
哲:俺は馬を見に来たんだ。そんな気はねぇよ。
駿:じゃあお金ですか?
哲:ち、ちちち違うよ。何言ってんだよ。俺がメインレースの前に軍資金を使い切って、スッカラカンになってるように見えるのかよ?
駿:見えます。
哲:ホントに?
駿:はい。見えます。
哲:実はそうなんだよ。
駿:お金なら貸しませんよ。
哲:別に姉ちゃんから金を借りようとは思ってねぇよ。
駿:じゃあ何が目的なんですか。
哲:姉ちゃんが馬券を買ってメインレースを楽しんでるのを隣で一緒に楽しみたいんだよ。
駿:わけがわかりません。
哲:一緒に馬券を買ったつもりになって、俺もレースを楽しみたいんだよ。わかるだろ、こういう気持ち。
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