脚本ダウンロードサービス

Hide the tree

Hide the tree
朝井…家に泥棒が入った人
乾…朝井の家の近所をうろついていた人。挙動不審
宇佐美…朝井の家の近所をうろついていた人。恋人がいる

舞台上には誰もいない

朝井　　（声のみ）ドロボー！
　
　乾が荷物を持って走っている。真ん中ほどについたらあたりを見渡してどこへ逃げよう
か模索する。反対側から宇佐美も荷物を持って走ってくる。宇佐美は乾が前方にいることに気が付いていない。

乾　　　　（走ってくる宇佐美に気が付いて）え、うわっ！
宇佐美　　（乾の声で乾の存在に気付く）あっ！すいませんっ

　乾と宇佐美はぶつかりそうになるが、寸前でよける。お互い立ち止まる。

宇佐美　　ご、ごめんなさい！（走りだそうとする）

　乾が来た方向と同じ方向から朝井が来る。

朝井　　　ドロボー！みつけた！（二人いることに気づく）…あれ？
乾　　　　（朝井を見て動揺する）えっ…ど、ドロボーって、な、なんのことですか？
宇佐美　　……今、泥棒に遭われたってことですか？
朝井　　　そうよ、家に侵入して私の大切なものを盗んだ泥棒よ。逃げたのは一人だったけ
　　　　　ど…まさか二人組とはね。
乾　　　　いやいやいや！違う違う。（宇佐美を指して）この人とは初対面だし、私は断じ
　　　　　て泥棒じゃない！
朝井　　　そんなこと言って、いま取り分について話してたんじゃないの？
乾　　　　してないってば！（宇佐美の方を向いて）ねえ！
宇佐美　　は、はい。
乾　　　　ほらぁ！違うって。大体、この人とは今鉢合わせたんだから。何の話もしてな
　　　　　いわよ。
朝井　　　ふーん。じゃあ、二人は知り合いじゃないってことね。
乾　　　　そう！あーよかった、わかってくれて。じゃっ（去ろうとする）
朝井　　　いやいや、待って。
乾　　　　もう何！？誤解は解けたじゃない。
朝井　　　二人が知り合いじゃないのは分かったけど、それなら二人のどちらかが泥棒っ
　　　　　てことじゃない？
乾　　　　わわわ私じゃないわよ！
宇佐美　　えーっと…私でも、ないです。
朝井　　　そりゃあ誰に聞いてもそう言うでしょうよ。
乾　　　　そんな…じゃあなに？私が今日の13時ごろにたまたま家主が不在の家を見つけ
　　　　　て、窓を割って侵入、そして部屋にあった金目のものをカバンに入れてずらか
　　　　　ろうとしたタイミングで家主が帰ってきてしまい、慌てて逃げ出した泥棒だっ
　　　　　て言いたいの！？
朝井・宇佐美　…………
乾　　　　ん？なに？
朝井　　　それは…自白とみていい？
乾　　　　なんでそうなるのよ！
宇佐美　　あの、泥棒の犯行内容が具体過ぎませんか？
乾　　　　いやだってそりゃあ…（自分が口を滑らせたことに気づく）あっ
朝井　　　今、「あっ」っていった！語るに落ちるとはこのことね！この泥棒！盗んだもの
　　　　　を返しなさい！
乾　　　　違う！今のは、その……そう！推理よ
朝井　　　…推理？
乾　　　　そうそう。まず犯行時間については、今の時間を見て逆算したらそのくらいで
　　　　　しょ？部屋に侵入や逃げ出したくだりはさっきあなたが言ってたじゃない。
朝井　　　窓を割って入ってきたなんて言ってないんだけど
乾　　　　それはあれよ。不在中に入ってきた泥棒と鉢合わせたってことはあなた玄関に

1/8

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで！