アンドロイドの珍問答
『アンドロイドの珍問答』
 : 
L4:「失礼します。こちら特務室で合ってますでしょうか?」
K9:「そうだが、君は?」
L4:「自分は本日付でこちらに配属されました、警備型アンドロイドL4(えるふぉー)です。
L4: どうぞよろしくお願いします。」
K9:「そうか。わたしはここの室長アンドロイド、K9だ。よろしく。」
L4:「はい。よろしくお願いします。」
K9:「まあ、そんなに硬くならず、気楽にしてくれ。
K9: 君の任務は、ここのアンドロイドの警備だが、あいにくわたし以外みんな出払っていてな。」
L4:「そうなんですね。」
K9:「ああ、だから今は特にやることもない。」
L4:「いえ、たとえ室長一人でも危険から護るのが自分の役目ですから。」
K9:「わたしがそんなにやわに見えるかね?」
L4:「いえ、そういうわけでは・・・。」
K9:「気にしなくていい。警備型アンドロイドの君と比べれば、わたしは華奢(きゃしゃ)だろうから。」
L4:「あの・・・。」
K9:「なんだ?」
L4:「ここには様々な分野に特化したアンドロイドが集められていると聞きました。」
K9:「ああ。確かにそうだな。」
L4:「室長もやはり、何かに特化したアンドロイドなのでしょうか?」
K9:「わたしか?そうだね。わたしは・・・、
K9: 味噌汁が熱すぎないか温度を確かめるためのアンドロイドだ。」
L4:「・・・はい?」
K9:「味噌汁の温度が熱すぎないか確かめるためのアンドロイドだ。」
L4:「・・・えっと・・・はい?」
K9:「どうした?」
L4:「本当はなんですか?」
K9:「は?」
L4:「室長の本当の役割はなんですか?」
K9:「だから、味噌汁が熱すぎて火傷しないように温度を確かめるのがわたしの仕事だ。」
L4:「・・・・・・え?」
K9:「以前ここの職員で大の味噌汁好きの人がいたんだが、不幸なことにその人はとても猫舌だったんだ。」
L4:「はあ・・・。」
K9:「何度も何度も口の中を火傷して、そしてそのことを上司に相談したところ、2年の歳月を費やして作られたのがこのわたし、K9というわけだ。」
L4:「・・・はあ。」
K9:「ただ、残念なことにわたしが完成する前に、その職員はここをやめてしまったが。」
L4:「え?じゃあ意味ないじゃないですか。」
K9:「いや、わたしがいることでいつ味噌汁好きの猫舌が現れても大丈夫という安心感に包まれているはずだ。」
L4:「そんなピンポイントな心配、そうそう無いでしょ。」
K9:「なんだ?わたしの機能に不満でもあるのか?」
L4:「いえ、不満というわけではないんですが、そんなことのためにアンドロイド一体作る必要があるのかなと・・・。」
K9:「そんなことのため?」
L4:「あ、いえ、すみません。でも、味噌汁なんて冷めるまで待てばいいだけじゃないですか。」
K9:「それが待てないから私が作られたんだよ。」
L4:「その人、大人としてどうかと思いますけど・・・。」
K9:「いいか。人間というのは我々アンドロイドと違って理屈ではないんだ。
K9: 君はそのことをもう少し学んだほうがいい。」
L4:「は、はあ・・・。」
K9:「人間とは感情の生き物なんだ。それをコントロールするのはなかなか難しい。
K9: 人間同士がぶつかり合えば喧嘩になるし戦争にだって発展する。
K9: だからこそ、我々アンドロイドが必要なんだよ。」
L4:「そ、そうですね。すみませんでした。わたしが間違っていました。」
K9:「我々は、そういった人間の理不尽に応えるために作られたんだからね。」
L4:「はい。」
K9:「ここにはわたしのように、特殊な目的のために作られたアンドロイドがたくさんいる。
K9: 例えばS2(えすつー)。彼はヒゲの中に混じった白髪だけを抜くために作られたアンドロイドだ。」
L4:「白髪を・・・?」
K9:「そうだ。それもヒゲの中の白髪だけだ。髪の毛の白髪は抜かない。」
L4:「え?なんでですか?」
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