お前、この歌知ってる?
A ねえねえ。
B なに?
A 俺さ。
B うん。
A すげーことに気づいちゃったんだよ。
B なに?
A お前、知ってるかな。
B 何を?
A 多分知らないかも。
B 何のことだろ。
A 知ってたら教えてね。
B うん。
A お前さ…クラリネットって知ってる?
B 馬鹿にされすぎてない?
A ちがうちがう。クラリネットの歌、知ってる?
B ああ、クラリネットをこわしちゃった、だっけ?
A そうそう。あれ。
B だとしても、馬鹿にしすぎじゃない?
A それほどでも。
B ほめてねぇよ。
A あの歌おかしいんだよ。
B おかしいって?
A 途中からおかしい。
B ほう?
A あの歌ってさ、クラリネットがどんどん壊れていくんだよな。
B うん。
A はじめはさ「ドとレとミの音が出ない~♪」じゃん?
B うん。
A もうここでおかしいことが始まっているわけよ。
B は?
A そもそも、ドとレとミの音が出なかったら、使い物にならないわけよ。
B うん、そうだね。
A でも、主人公はまだ使うわけよ。
B あんま、主人公って言わないけどな。
A ほんで、挙句の果てに「ドとレとミとファとソとラとシの音が出ない~♪」だって。
B 全滅だね。
A はぁ!?!?!?
B おおっ、急に大きな声出すなよ。
A マジで意味わかんなくない!?
B なにが。
A そんな音が出ねぇクラリネットは、クラリネットじゃねぇだろ!
B まぁ、そうだね。
A ほぼ、ちくわと同じだよ!
B マジで意味わかんない。
A ほら、穴が開いてる細長いもの、っていう意味で。
B なぜそれの代表がちくわなのよ。
A そんな音が出ないのに、なんでパパに早く相談しないかなあ。
B あぁ、あの歌パパの大事なクラリネット、っていう設定だもんね。
A っていうか、パパもおかしいよね。
B なんで。
A そんな大事なクラリネットを、なんで子どもの届くところに置いちゃうかなあ!?
B あんまそういうことを考える曲じゃないから、あれ。
A ふざけてると思わない!?
B えぇ?
A やっぱお前もそうだよな!わかってくれると思ったよ!
B なんも言ってねぇよ。
A あの歌は教育に悪いね、ほんと。
B そうかなあ。
A そうだよ。
B みんなで歌えていいと思うけどね。そんな細かく考えるものじゃないし。
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