君は僕の
君は僕の


高野千里  …髪の長いただの女子高生。
井上真澄  …隠した夢があるただの男子高生。


 放課後の教室。
 机に突っ伏して眠っていた高野が目を覚ます。
 髪の毛に違和感を覚える。

高野   え?

 顔を上げると、高野の髪を結んでいる井上と目が合う。

高野   井上?
井上   あ、ああー、ごめんなさい!

 パッと手を離すと、勢いでそのままひっくり返る井上。

高野   ええ、大丈夫?
井上   大丈夫、大丈夫!
高野   …これ、井上がやったの?

 器用に半分ほど編み込まれた井上の髪。

井上   勝手にごめん!今すぐほどくから
高野   これ、どうなってんの?
井上   え、ちょっと編み込んでみて…
高野   鏡ある?
井上   ある、あるよ

 井上、鏡を取り出して高野に渡す。

高野   うわ、すご。なにこれ、どうなってんの
井上   ごめんね
高野   なんで謝ってんの?
井上   う、ごめん。すぐなおすから
高野   待ってよ。これまだ途中でしょ?
井上   うん
高野   最後までやってよ
井上   え!

 一瞬にして、井上の表情が嬉しそうに輝く。

井上   いいの?
高野   うん、いいけど
井上   じゃあ、じゃあさ、もっとちゃんとやり直してもいい?

 そう言って、ゴソゴソとかばんの中からいろんな道具を取り出す。

井上   ここ座って

 井上の前に座る高野。
 嬉しそうに大事に高野の髪に触れる井上。

井上   高野さんの髪、すごく綺麗だから触ってみたかったんだ
高野   そんなふうに思ってたんだ
井上   あ、ごめん。気持ち悪いよね
高野   だから、なんでそうやってすぐ謝るの
1/3

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム