コント『助監督』
コント『助監督』


監督
助監督
ヘアメイク
通行人・監督の先輩(同じ役者が演じる)

※●の台詞があるが、男女の場面とは別にもう一つ場面が同時進行していることを示す。

    夏、夕方の公園
    ピアノの柔らかな旋律に包まれている
    友達以上恋人未満な男女が一組、夕焼けに照らされている

女「助監督?」
男「うん。撮影の現場でさ、カメラの前に板みたいなの出してカチンってやる人」
女「あー、あれね」
男「監督なんてのは素人にだってできるけど、助監督は現場のことを本当に理解していないとできないんだ。現場全体を回したり、技術スタッフと打ち合わせしたり。俺が今入ってる現場だと、小道具作るスタッフと一緒に作品で実際に使われる写真集作ったりしてる」
女「助監督さんって大変なのね」
男「うん。でも俺なんかほんのぺーぺーで、同年代で俺より凄い奴なんてごろごろいる。この前一緒に飲みに行った、沢田くんって覚えてる?」
女「背の高い丸眼鏡の?」
男「そうそう。あいつなんて凄いもんで、俺が年に一本仕事があるかないかって状況なのに、あいつは二本も三本も仕事を取ってくる。助監督として素晴らしい技術をもっていて、且つ周囲からの信頼も厚いんだ、あいつになら仕事を任せられるって」
女「凄い人なんだね、沢ガニみたいな顔してるのに」
男「それ言う必要ある?」
女「でも、祐介くんだって凄いじゃない。次の現場、もう決まってるんでしょ?一週間離島で泊まりこみの撮影だっけ」
男「うん。だから今やってる作品成功させて、次のも上手くいって、そんな感じでどんどん力つけていかないとなって」
女「そうね。私は現場のことはよく分からないけど、映画好きの友達として応援してるよ」
男「友達、ね」
女「ん?」
男「いや、何でも無い。ありがとう」
女「じゃあ、私そろそろ帰るね。明日までに仕上げなきゃいけない仕事あるし」
男「そっか。じゃあ、また」
女「またね」

    女、去って行く
    振り返って手を振ったりして

男「(天に向かって叫ぶ)好きー!」
監督「カット!」

    カチンコの音が響き、監督、助監督歩いてくる
    隅でヘアメイクが女の髪型を直している

監督「ちょっと、なんで最後叫んじゃうの」
男「すいません、思い切り想いをぶちまけた方が良いのかなって思って」
監督「違うのよ、そこはさ、もっと丁寧に、こみ上げてくる好きっていう気持ちが思わずぽろっとこぼれるのが良いのであって……」
助監督「や、この方が良いと思いますよ」
監督「あ、そう?」
助監督「はい」
監督「んー、じゃあオッケー!次行こう!」
男「すいません」
監督「あ、いいのいいの。君芝居初めてなんでしょ?それでこれだけ出来るのはすごい事だから。頑張ってこ」
男「ありがとうございます」
監督「で、次は」
助監督「(台本を見て)24ページの、ここですね」
監督「オッケーオッケー、愛の告白のシーンね。やっていこう」
助監督「ヘアメイクさんどうですか?」
ヘアメイク「少々お待ちくださーい」
助監督「ヘアメイクさん待ちでーす」
監督「オッケー、ちーちゃん待ちね。でさ、今からやるシーンなんだけど」
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