ウォルト・ディズニーの夢
『ウォルト・ディズニーの夢』

      岡本ジュンイチ・脚本

















登場人物

ウォルト・ディズニー
ロイ・ディズニー
ハル・ホーン




   0

舞台はディズニー・スタジオの社長室。
ロイ・ディズニー、自分の書類のページをめくり、何やら苦し気な表情を浮かべて 
いる。

ロイ「……はあ~」

 そこに、ウォルト・ディズニーが登場。
 ウォルト、何やらいらいらとした表情で、興奮気味の様子。

ウォルト「ごめん、ロイ兄さん。ずいぶん待たせちゃったね」
ロイ「いや、いいよ。……それより、どうかしたのか?」
ウォルト「いやぁ、大したことないよ。ただ、ちょっと腹立たしいことがあっただけさ」
ロイ「腹立たしいこと?」
ウォルト「そう。あれは、汽車の中での出来事だった。僕がここに来るまでに汽車で通勤してたところに、男が一人やってきたんだ。それで、その男と世間話をしていたんだよ」
ロイ「うん。それで?」
ウォルト「そういう話をしていっているうちに、あいつ僕の職業について尋ねだしたんだ。尋ねられたものは受け答えするのが礼儀でしょう? だから僕は、自分の職業を素直に話したんだ。『僕はアニメーション映画の仕事をしてるんだ』ってね。奴はどんな反応したと思う?」
ロイ「さあ、想像つかないな。どんな反応だった?」
ウォルト「『ふう~ん』の一言だけ。映画の仕事をやってる人間に向かって『ふう~ん』だよ?」
ロイ「ああ……」
ウォルト「それってひどくない?」
ロイ「ああ~。まあ、それは不運なできごとだったな」
ウォルト「まったくだよ! ああ~、ムカつく~」
ロイ「まあ、お前の気持ちも分からないでもないけど、仕方ないだろ。俺たちはハリウッド映画のスターじゃない。あくまで短編のアニメーションなんだからな」
ウォルト「でも……」
ロイ「それより、そろそろ本題に入らないか、ウォルト」
ウォルト「ごめん、兄さん。じゃあ、そうしよう」
ロイ「ああ。見ろよ。これが去年の興行収入だ」
ウォルト「うわぁ……」
ロイ「ガタ落ちだ」
1/15

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム