ババンゴ
ババンゴ

A24       自爆用ロボット。戦争末期で自爆するはずだったが不発に終わる。最後の一体。
BBNG-56 普通のロボット。器用でなんでもこなせる。

    舞台は廃ホテルのロビー。舞台中央にA24がいる。
    そこにBBNGが入ってくる。

BB   また、そこにいたのかA24。
A2 ここは良いところだよ。ババンゴ。人間たちが求めたものが、ここに全てあるような気が
    するんだ。
BB   相変わらずロマンチストだな。あと、俺のことをババンゴって言うのは、やめてくれ、俺
    は、BBNG-56。そうだな、百歩譲って「ゴロー」とかどうかな!
A2   いや、ババンゴが良いよ。ババンゴが似合ってる。
BB   褒めてないからな。それ。
A2   ババンゴは海って知ってるかい?
BB   海?あれだろ?地球にあったっていう…水?
A2   そうそう、そんな感じ
BB   バカにしてるのか?
A2   私は君のそういうところが好きなんだよ
BB   よ、よせやい
A2   君が自我に目覚めてから、どれくらいたった?
BB   さぁ?とっくの昔に覚えるのをやめたよ
A2   君らしいね。私は、はっきりと覚えてるよ。僕の体に埋め込まれている新世紀爆弾が不発
    に終わり、世界の同胞たちが死に絶えたあの時、私は自我に目覚めたんだ。
BB   どうでも良いね。それに「死に絶えた」ってなんだ。命令通り爆発して、ぶっ壊れたん
    だ。死んだとかって話じゃない。ただ、壊れたんだ。いや、命令通りの動作をしてないん
    だから、壊れてるのはお前の方だな。
A2   でも、壊れてるから君に会えたんだ。ババンゴ。それだけで、自我に目覚めた価値がある
    んだ。
BB   よせやい。こんなキラキラしたところで、ぼっーとしてるから回路に異常でも起こしたん
    じゃないか?自我に目覚めたって言っても、与えられた思考プログラム外の事を考えられ
    るようになっただけだ。結局のところ、ロボット以上のものになってはいないのだから、
    変わったところなんで、「ほぼ」ないんだよ。A24。
A2   確かにそうかもしれない。でも、少しの違いの中に命が宿ることもあるんだ。君もわかっ
    てるんだろう?
BB   A24。何を考えてる?
A2   海に。地球に行きたいんだ。

    暗転
    薄暗い灯りの中、一人でA24が佇んでいる。

放送   起爆信号を受信。新世紀爆弾、起動。5、4、3、2、1・・・・。

    爆発音が轟く。激しい閃光。その中で佇み続けるA24。
    爆発が止み、光が差してく。

A2   これが、「命」か。

    BBNGが入ってくる。

BB   なんだ、お前。こんなところで何してる。
A2   君は?
BB   俺か?俺は、BBNG-56。ただのロボットだ。
A2   私はA24。よろしく。
BB   あぁ。こちらこそ。長い間、スリープモードになってたみたいなんだが、何かあったの
    か?あたり一面が灰まみれだ。人間もいない。人間は金星まで戦争を持ってきたのか?
A2   わからないけど、原因は新世紀爆弾だよ。
BB   あぁ、お前は自爆用か。通りでな。
A2   何か違うのかい?
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