鬼影
登場人物

宵月(ショウゲツ)
椿(ツバキ)
紗夜(サヤ)
御景(ミカゲ)
平宗盛(タイラノムネモリ)

村人1〜3
語り部(男女不問)

追手1〜3





〜幕〜

       遠くから聞こえる怒号、乱れ響く足音。逃げ込んでくる影。
       ぼろぼろの衣服に、頭から目深に覆いを被った男。辺りを見回し逃げようとするが追っ手に囲まれる。

追手1  いたぞ!
追手2  もう逃げられんぞ、観念しろ!
男    …!
追手3  異形の者め、この地に災いをもたらすつもりか。
男    違う!俺は…
追手1  黙れ。貴様の言葉なぞ聞きたくはない。即刻、斬り捨ててくれる!

       追手たち、抜刀し次々と男に襲い掛かる
       男、逃げ回るが。あちこちに傷を負う
       じりじりと追い込まれる男。追っ手達、一斉に襲いかかろうとした瞬間、
       制するように美しい女が現れる。
       虚を突かれてとどまる追手たち

追手3  なんだ、貴様!邪魔をするな。
椿    何故だ?
追手3  なんだと?
椿    何故この者を追いつめるのだ。
追手2  こやつは鬼の種族。異形の者は災いをもたらすに違いない。そうなる前に殺すだけだ。
椿    …なんと愚かな。己の恐れをこの者の所為にすることで晴らそうというのか。
追手2  無礼な女め!貴様も一緒に葬ってくれる!

       追っ手達一瞬戸惑うが再度襲いかかろうとする。しかしそこに飛び込んできた影が二つ。
       飛び込んできた従者達追手を蹴散らす。

追手1  くそ…!退け!

       追手たち、退場。
       従者を従えて凛と立つ女。呆然とその姿を見つめる男。

椿    大事ないか?
男    は、はい…
椿    またあのような輩に見つからないうちに逃げよ。
男    あ、あの…どうして…
御景   貴様、下賤の者が気安く声をかけるな。
椿    御景、よい。
男    なぜ…俺…私を助けて下さったのですか…。私は…その…鬼の種族と呼ばれる…人外の者です…
椿    ならば、お前に問おう。鬼とは、なんだ。
男    え…
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