試験の歴史=不正の歴史
『試験の歴史=不正の歴史』

登場人物:
・東郷(男)─P大の推薦入試を受けている男子高校生。
・白木(女)─P大の推薦入試を受けている女子高生。朝霞とは高校の同級生。
・朝霞(男)─P大の推薦入試を受けている男子高校生。白木とは高校の同級生。
・監督─入試の試験監督。


○P大・大講義室

   公募推薦入試の試験が行われている大学の教室。
   舞台中央に長机が2つある。
   舞台中央奥に「P大学文学部 2020年度公募推薦入試」
     と書かれたホワイトボードがある。
   監督、生徒たちの方を向いて舞台上手側に立っている。
   東郷、上手側の机の奥側の席で試験を受けながら、
   時折白木の解答用紙を覗き込んでいる。
   白木、上手側の机の手前側の席で試験を受けている。
   朝霞、下手側の机の手前側の席で試験を受けている。
   明転。
   チャイムの音。

監督    時間です。筆記用具を置いてください。

   生徒たち、筆記用具を置く。

監督    それでは、これより解答用紙を回収します。
      合図があるまでは、席に座ったままでいてください。  

   監督、下手側の机から順に解答用紙を回収し、
   舞台上手側に退場。

監督(声) ──枚数の確認が取れました。
      これにて、1限目の小論文の試験を終了します。
      2限目の英語の試験は、13時30分開始です。
      試験開始の5分前までには席に戻るようにしてください。
      それでは、これより休憩時間とします。
朝霞    …ふー…

   朝霞、単語帳を取り出す。
   白木、飲み物を取り出す。
   東郷、席を立ち去ろうとする。

白木    東郷さん。

   東郷、立ち止まる。

東郷    えっ。
白木    東郷さんご本人でお間違いないようですね。
      白木と申します。
東郷    え、えと…ごめん、どっかで会ったこと──
白木    学生証を拝見しました。
東郷    えっ!?か、勝手に見るなよ。
白木    勝手に見るな…ですか。はあ。
東郷    いや普通見ないだろ、隣の奴の学生証とか。
白木    ご自分は散々人の答案を覗き込んでおいて、
      ずいぶん虫のいいことをおっしゃるんですね。
東郷    …な、なんのこと?
白木    単刀直入に申し上げます。
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