愛しの・・・
ー兄貴と政シリーズ vol.3ー
戯曲『いとしの…』

   遠くで風鈴の音

「…政よ、歌で夏を感じたいのう」
「…感じたいっすよね、兄貴」
「最近の腑抜けたJ‐POPとかじゃなしに、魂の歌を聴きたいのう」
「聴きたいっすよね、兄貴」
「その昔、『夏バンド』とか呼ばれた奴らがおったのう…たしか…『北陸』?とか『甲信越』…とかなんとか言ったのう…」
「兄貴、…ひょっとして『チューブ』……っすか?」
「おう、それじゃ」
「兄貴、お気に入りですか!」

   兄貴、鬼の形相で政を殴る

「あんだら、ぼけ!」
「アニキィ…」
「あほ抜かせ!! わしのサマーはスタイリッシュなんじゃ!! あんなボーカルがウェストゴムのイージーパンツはいたバンドなんぞ砂に埋めてやりたいわ!」
「埋めるべきっすね、兄貴」
「わしが言いたいのは、あんな偽物になるなっちゅうことじゃ」
「兄貴、本物と呼べるのはやっぱり?」
「あったりまえじゃ! クワタに決まっておろうが!」
「おおー!」
「やっぱ『サウザン…』は最高じゃ!!」

   間

「え…」
「え?」
「ウ?」
「あぁ?」
(小さな声で)「…………サウ…ザン…」
「…なんじゃあ? 政よ、お前まさか『サウザン…』も知らんのか?」
「……」
「クワタじゃ。ハラボーじゃ。…ええ?…おっどろいたのう!! 日本に住んでいて『サウザン…』わからん奴が存在しようとはのう!!!!…わしゃ今日のこのトンでも体験をツイートさせてもらうで」
「…兄貴…後生ですから…止めといてください…」
「なんじゃ政。はずかしいんかい」
「…相当にはずいです…」
「じゃあ止めてやってもええが、…土下座せいや」
「え」
「サウザン知らんかった罪と罰じゃ!」

    間

(悔し涙で独り言)「……サラダ……ドレッシング…」

    政、しゃがんで両手をついたところでストップモーション。 
    サザンオールスターズ『TUNAMI』カットイン
    曲流れる中でゆっくりと暗転
                      
                        おわ��
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