遺言予行練習
登場人物 3人
カナカ 演劇同好会のメンバーであり、かなりのめんどくさがり。両親が先生で
誇りに思っている。が学校では怠惰なキャラクターとして通っており、
真面目に勉強できていない。友人であるユウカとサチには自分の素をあ
る程度は見せている。
ユウカ 引っ込み思案なおとなしい演劇同好会のメンバー。音楽や演技が元々好
きで、自分を表現したいと思っているが、なかなか出来ずにいる。打ち
解けたはずのメンバーにもこのことは言えていない。
サチ 持病を抱えている演劇同好会のメンバー。元々学校にもあまり通えてい
なく、このようなコミュニティを持つことすらも出来なかったメンバ
ー。独創的で自分という芯が通っている。
本文
○ガサガサと箱の中を探す物音
ユウカ ねぇ、ほんとに良いのかな?
カナカ え?
ユウカ だって、おふざけで書いたやつだよ?おふざけ
カナカ それはそうだけど…。サチのお母さんも言ってたでしょ?もし遺書とかあるな
ら、その通りにしてあげてって。
ユウカ それはそうだけどさ…。てか、なんでサチのお母さん知ってたんだろ。
○カナカ、箱からサチの遺書を取り出す
カナカ たまたまじゃない?お、あったあった。開けよっか
ユウカ ええ、良いのかなぁ?勝手に開けちゃって。ほら、その、サチのだからさ
カナカ うーん…。まぁ開けるしかないんじゃない?
ユウカ 確かに…。うぅ…。そうだよね。サチごめんね~。
カナカ てかこれって破いて良いのかな?
ユウカ え?破くの?
カナカ だってほら、のり付けされてる。
ユウカ あーほんとだ。ビリって破いて開けるのやだね。なんか。
カナカ わかる。じゃあはさみ探すか…。
カナカ(語り)今日、サチが亡くなった。持病が悪化したことによる心停止だった。サチ
は学校を休みがちではあったけど、持病を持っていたとは思えないほど元
気だった。それなのに。一週間前、「またね」って手を振り合ったのを最
後に、彼女の声を聞くことは無かった。
ユウカ(語り)私達は同じクラスではなかったが、同じ演劇同好会にはいっていて、放課
後に青春をいつも通り過ごしていた。そんな私達がなんで遺書なんか書く
ことになったのか。それは、ちょうど二週間前の事だった。
○ドアの音。部室が開く。
カナカ おつかれー。いやー疲れた疲れた。聞いてよ二人とも。…ってどうしたの!?
サチ カナカ。
ユウカ ちょっと聞いてよ。ユウカったら部室来てからずっとこんな調子でさぁ。
カナカ 何かあったの?まさか失恋
サチ あのね…。今日ね。
カナカ うん
サチ …授業で動画見たのぉ。
ユウカ うん。
サチ その内容がね。感動ものでね。もー私泣いちゃってぇ!
カナカ うん
サチ なんかさ。遺書って良いね!
カナカ,ユウカ …うん?
サチ だから、遺書!遺書っていいねって話!
カナカ ちょちょちょ!なんでいきなり遺書が出てくるのよ!
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