今夜の月は美しい
『今夜の月は美しい』
 : 
美月:「わたし、女優になる。」
颯太:「・・・そうか。」
美月:「うん。」
颯太:「・・・頑張れ。」
美月:「・・・それだけ?」
颯太:「え?」
美月:「それだけ?って聞いてるの。」
颯太:「他になにを言えと?」
美月:「もっとあるでしょ!頑張れとか、応援してるよとか。」
颯太:「頑張れは言ったよ。」
美月:「そうだけど、心がこもってない。」
颯太:「はあ?」
美月:「あんな棒読みの頑張れなんて、言ったうちに入らないから。」
颯太:「そうか。」
美月:「そうよ。」
颯太:「はーい。」
美月:「なに?なんなのよ、その興味なさそうな態度は。」
颯太:「あ、わかってた?興味ないって。」
美月:「わかるよ!そんだけ棒読みで返事されれば誰でもわかるっつーの!」
颯太:「そうか。それはよかった。」
美月:「よくない!」
颯太:「え?」
美月:「普通、興味持つでしょ?わたしが急に女優になるって言い出したんだから。」
颯太:「だって、どうせあれだろ?」
美月:「なによ。」
颯太:「なんか、かっこいい俳優を見つけて、女優になればお近づきになれる~とか、
颯太: どうせそんな理由だろ?」
美月:「うっ、・・・それだけじゃないかもよ?」
颯太:「やっぱり、それが理由か。」
美月:「いいじゃない。なにがいけないの?イケメンは正義なの。
美月: わたしはイケメンを愛でるために生まれてきたの。」
颯太:「そうか。なら、勝手に愛でてくれ。」
美月:「だ~か~ら~、どうしてそんなに興味なさそうなのよ!」
颯太:「興味なさそうなんじゃなくて、興味ないんだよ。」
美月:「え?マジ?どうして?」
颯太:「え?美月、本気で言ってる?」
美月:「当たり前じゃない。こんなにかわいいわたしのこと、
美月: 興味ない男がいるわけ無いじゃん。」
颯太:「・・・ソウデスネ。」
美月:「今日イチの棒読み出たんですけど?」
颯太:「ソンナコトナイヨ。」
美月:「だから、棒読みやめてって言ってるの。」
颯太:「わかったよ。で?なんで、俺にそんなこと報告に来たの?」
美月:「だって颯太、昔、子役やってたんでしょ?」
颯太:「・・・だから?」
美月:「わたし、演技とかしたことないから。」
颯太:「・・・ないから?」
美月:「わたしにお芝居教えてよ。」
颯太:「嫌だ。」
美月:「ちょ!なんで即答!?」
颯太:「俺はもう芝居とかしないの。」
美月:「なんでよ。」
颯太:「なんでも。」
美月:「ぶぅ。」
颯太:「ぶた。」
美月:「もう。」
颯太:「うし。」
美月:「こけこっこ。」
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