鴉は飛語に舞う (30分)
■■■プロローグ
白 時に
青 嘘も
赤 真実になる。
白 時に
青 真実も
赤 嘘になる。
白 知るもの、
青 見たもの、
赤 聞いたもの、
白 信じたもの、
白青赤 全ておぼろげ。

赤 かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀と滑った 後ろの
  正面だあれ♪
白 この歌も語り継がれ、世の移り行きと共に言葉も解釈も変化していったもの。
青 何故、変化したのか。
赤 世が移り行きったから。
白 移り行きった? 
青 そのままじゃないか。
白 いやいや、まず、移り行きったなんて、そんな言葉あるか?
赤 ないの? じゃあ今、生まれた新たな言葉。移り行きった。
白 そんな勝手な。
青 しかしそんなものだ。言葉とは、使い勝手の良き様に変化していく。
白 途切れず残るとしても、そのままではいられないのか。
赤 間違って語り継ぐ時だってある。
青 かもしれない。
白 真実も真実のままではいられない。

   赤、しゃがみこんで顔を伏せる。歌う。
   白・青、赤を囲んで回り続ける。

赤 かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀と滑った 後ろの
  正面だあれ♪

   白、赤の後ろに止まる。
   青、赤の正面に止まる。

赤 だあれ?
白 後ろか?
青 正面か?
赤 後ろの正面!
白 後ろは此処だ。
青 正面は此処だ。
赤 後ろの正面!
白 後ろの…
青 正面…
赤 どっち?
白 さて?
青 はて?
赤 最初に決めといて!
白 決まってはいたのだろう。
青 決まっていたものを、皆が忘れていったのだろう。
赤 後ろの正面は、何処なのか。
白 忘れられた。
青 忘れていった。
赤 忘れられてしまった。
白 忘れてはいけない話をしよう。
青 伝えよう。
赤 説こう。
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